今が旬の「みかん」。今年は全国的に販売価格が高くなっています。農林水産省によると、今年のみかんの平均販売価格は1キロあたり969円。昨年同時期より250円も高値です。理由を探りに生産者をたずねました。

長崎市の野中果樹園。栽培面積およそ9000坪のみかん園では例年30~40トンの収穫量を誇ります。しかし今年はー

野中果樹園・野中隆史さん:
「ことしは半分以下です」

今年の収穫量は例年の半分以下にまで落ち込んでいるといいます。背景には今年が「裏年」であることに加え、みかんと生産者を悩ませる3つの要因がありました。

試練1:天候

野中果樹園・野中隆史さん:
「秋にかけて2か月以上こっちも雨が降らなかったんですね。雨が降らないと実の量も、実の大きさも太らない」

秋の雨量が少なかったことが収穫量と大きさに影響を及ぼしているといいます。さらに夏の暑さを要因とする試練も、みかんに襲いかかっています。

試練2:害獣・害虫

野中さんによると、例年以上の暑さで「カメムシ」など害虫の活動が活発化、例年通りの対策では足りずに被害が広がっているということです。さらにネットを突き破って襲いかかってくる動物の被害も深刻です。

野中さん:
「イノシシが入ろうとした形跡です、この『穴』が開いてるところ。山の幸、例えばどんぐりとかも何となく少ないような感じで…」
Qイノシシが山から降りてきてみかんを食べてしまう?
野中さん:
「そうですね」

カメムシ。イノシシ。みかんを狙う目は空からもー。

試練3:鳥害

イノシシが開けた「穴」から侵入した鳥による食害も深刻化しているのです。みかん生産者を襲う「虫・イノシシ・鳥」のトリプルパンチ!野中さんは価格を上げるのは苦渋の決断だったといいます。

野中さん:
「生産者からしたら本当に生活に関わることなので…、本当に心苦しい限り」

収穫量も大きさも影響を受けていることしのみかん。しかし味は抜群の出来に仕上がっています。

久富アナウンサー:
「皮に対して実がパーンと張っているような…すっごく甘いです。びっくりしました。口に入れた瞬間じゅわっと中の果汁が口いっぱいに広がりました」

野中さん:
「数は少ないんですが、皆さんに喜んでもらうために一生懸命作ったので」

2月中旬からは「柑橘の大トロ」とも呼ばれる「せとか」も街に並び始めます。トリプルパンチの試練を乗り越えて実ったみかんは、味わいも格別。『笑顔を届けたい』ー生産者の思いが詰まっています。