■ 必要な税収が 他自治体に流出する『ふるさと納税 赤字』
住吉:
地方自治体にとっては良いことばかりのような気がするのですが、ふるさと納税制度に課題などはありますか?

平家:
年間で8,000億円以上の税金が動いている訳ですので、『多くもらっている地方自治体』と、ふるさと納税制度により『税収が減っている自治体』もあります。
実際に都市部の自治体からは「公共サービスの財源となる住民税が他の自治体に贈られてしまうことは、今後、公共サービスの持続に支障をきたす懸念がある」との意見がだされています。
この「ふるさと納税“赤字”」は、都市部だけでなく、地方の自治体にも当てはまります。

住吉:
『ふるさと納税“赤字”』から抜け出すためにも、ふるさと納税の寄付額を継続的に増やしていかなければならないと思いますが、どうすれば良いのでしょうか?
平家:
やはり、入り口が返礼品であることは避けようのない現実です。したがって、実際に来てもらって、地域産品に触れてもらうことが一番重要だと考えます。
まずは単に寄付者と返礼品だけの関係ではなくて、寄付者に、その”自治体のファン” になってもらう工夫が必要です。
そして、ふるさと納税をきっかけに、実際にその地域に何度も来てもらい、消費したりして経済に貢献してもらうくらいの関係を築くことが望ましいと思います。
そのためには、各自治体が 地元の良さをもう一度 見直して魅力を掘り下げ、磨き、発信することが大切だと思います。いずれにしても『地域間競争を意識すること』が必要です。