空き家に無断で住んでいたとして「不動産侵奪罪」に問われている20代の男の裁判が7月4日、長崎地裁で始まった。
男は気に入った空き家を見つけ、電気・ガス・水道を契約、エアコン4台も設置し快適な暮らしの準備を進めていた矢先、電気自動車を充電していたところを管理する不動産業者に見つかって逮捕された。
この間およそ1カ月。短絡的な犯行の動機と、犯行を可能にしたインフラ手続きの盲点とは?

不動産侵奪の罪に問われているのは25歳の無職の男。

「不動産侵奪罪」はいわば不動産についての窃盗罪で、刑罰は10年以下の懲役。罰金刑はない。終戦後、特に都市部で土地の不法占拠が横行したことから1960年に新設された。

2022年の認知件数は全国で29件、21年は18件(警察庁「統計」より)と、近年の発生は少ない犯罪だ。

起訴状によると、男は2024年3月28日~4月25日までの間に長崎県大村市の空き家に侵入、家具を搬入するなどして住み始めて占拠し、他人の不動産を侵奪したとされている。

4日、長崎地裁で開かれた初公判で男は起訴内容について全面的に認めた。続く冒頭陳述で、検察側はあまりに短絡的な男の犯行の動機を述べた。