原爆の日に合わせ長崎を訪れている岸田総理大臣は9日、被爆者団体からの要望を受け、被爆地域の外で長崎原爆にあった「被爆体験者」の救済事業に、がんの一部を追加する考えを明らかにしました。

岸田総理は9日、長崎市内で開かれた会見で、
「被爆体験者の高齢化が進む中、現在の被爆体験者事業にがんの一部を追加することを至急検討したい。
来年4月から医療費支給を開始できるよう事業の性質に照らし、どのようながんが対象とできるかなどについて厚労省に検討させたい」と述べ、
『被爆体験者・救済事業』の”対象疾病”に、がんの一部を追加する考えを示しました。
しかし、もう一つの被爆地・広島では、被爆体験者と同じように『国の援護区域外で原爆にあった人たちを被爆者と認定』する ”新たな基準” がことし4月から運用されています。
9日、岸田総理が明らかにした『がんの一部追加』は、被爆体験者をあくまで被爆者とは認めず、救済事業を一部拡大するに留まるものです。
先月、長崎市が科学的・法的検証を経て国に示した『被爆体験者の救済要望』にも言及がなく、被爆体験者の訴えとは乖離しています。