■ 周辺国の”核のリスク”に直面するなか 国内では『核配備論』

アメリカの ”核の傘” に依存する日本。岸田総理は今回、日本の首相として初めて会議に出席し、NPT体制の維持・強化を訴えることになっています。
政府顧問として会議に参加し、最前線の交渉にも絡むとみられる西田教授。
日本は、中国や北朝鮮の核のリスクに対し、短期的には ”核の傘” を維持しながら、”段階的に核廃絶を目指すべき” との考えを持っています。

西田 教授:
「もし北朝鮮を巡っての軍事衝突が起きれば、(北朝鮮は)『かなり早い段階で核を撃ち込む』戦略だろうと思われてますので、そこは真っ先に撃つ相手は ”日本” か ”韓国” か…おそらく韓国よりも日本だと思うので…。
それ(=核兵器)を使わせないために、こっち(=日本)も何らかの形で対応できた方がいい。その上で、徐々に減らしていって、最後無くすという方法しかないのかな、と個人的には思う。
私が話してきたことと、被爆地・被爆者の訴えは ”違う面” が多いと思うんですが、少なくとも私の場合は、子供のとき修学旅行で長崎に来て、被爆の実相に接したときの気持ちを持ったまま国際政治に身を置いてきたので、どうやったら『国際政治のロジック』の中で、核廃絶できるのかって常に考えてきたつもりです」


西田教授が小学生のとき、長崎で聞き、核軍縮外交の道に進む ”原点” になったという歌「原爆を許すまじ


♪ふるさとの街やかれ
 身よりの骨うめし 焼土に

 (作詞:浅田 石二 作曲:木下 航二)

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、国内ではアメリカの核兵器を配備する『核共有』の議論を求める声が上がっています。

ことしの長崎平和宣言の起草委員会では「核共有」議論に反発する意見が相次ぎました。


田中 重光 起草委員(長崎被災協 会長):
「 ”日本も核を持とうじゃないか” という議論が出ている。私たち被爆者からすればもってのほか」

桝本 由美子 起草委員:
「この時期に”核共有” の事を出してくるというのは…日本という怖さを感じた」

1才の時、長崎で被爆した和田 征子さんは、今回の再検討会議に出席し、核兵器の非人道性を訴える予定です。
日本被団協 事務局次長 和田 征子さん(78):
「私は涙が出るくらい怖い。恐怖心があります。とにかく使わせてはいけない。それには外交です。”武力で勝つ人はいない” という事をしっかり伝えたいと思っています」

西田教授:
「ロシアの ”核の恫喝” というのは、核兵器を軽く考えているんですよね。被爆の実相を伝え続けるしかないと思う」

被爆地の訴えに、厳しい現実が立ちはだかる被爆77年。
NPT再検討会議の期間中に迎える8月9日──
長崎平和宣言では『核兵器は使ってはならない・なくすしかない』のだと訴えることになっています。