椎葉村の人たちを「食」を通して喜ばせている地域おこし協力隊の男性に注目します。

男性が行っているのが高齢者などへの配食サービスです。取り組みを取材しました。

大阪出身の料理人


椎葉村松尾地区。

おととし、地域おこし協力隊としてやってきたのが、大阪府出身の佐々木拓也さん(33歳)です。

(椎葉村地域おこし協力隊 佐々木拓也さん)
「結構歩いています。何か(食材)落ちてないかなとおもいながら(笑)。そこがウド畑になっているのでそこから摘んできたりとか。そういうのが楽しいですね」


実は料理人の佐々木さん。松尾地区にある調理施設「ささの茶屋」の運営を任され、弁当の配食に取り組んでいます。

この日は、地域おこし協力隊の仲間が見学にやってきました。

(椎葉村地域おこし協力  佐々木拓也さん)
「僕の弁当ってちょこちょこしてるんですよね。主菜がドーンじゃなくて・・・」

仲間にも弁当作りを体験してもらいながら作るのは、サゴシの幽庵焼きがメインの弁当です。


コロナ禍で独立・開業を延期して椎葉に


これまで、懐石料理などの修行を積み、独立して開業する予定だった佐々木さん。

しかし、新型コロナの影響で開業の延期を決め、その後、椎葉村が配食などを担う地域おこし協力隊を募集していることを知りました。

(椎葉村地域おこし協力隊 佐々木拓也さん)
「今までずっと海のものばかりで修行してきたので、山のものをちょっとこの3年間で勉強したいと思って椎葉村に来ました。近くに本当に山菜や野草がすごいたくさんあったんで、そっちの勉強ができるなと思って、いいですね」



1つ1つの料理にはプロとしてのこだわりが垣間見えます。

また、高齢者が食べやすいように工夫も。

(椎葉村地域おこし協力隊 佐々木拓也さん)
「今日、この方は、ちょっと柔らか目じゃないとだめだっていうのであった時は、隠し包丁したりとか」

佐々木さんの弁当を心待ちに


こうして、夕方に完成した弁当は、温かいうちに配達します。



普段利用している住民は・・・

(地区の高齢者)
「日替わりっていうか、同じものが入ってないから。そして、おいしいです。こっちは助かります。」

また、高齢者だけではなく、独身や単身赴任の先生たちも佐々木さんの弁当を心待ちにしています。

(松尾小学校 鷹巣竜之介教諭)
「こちら側としては、すごいうれしいですし、中身も結構ボリュームがあっておいしいのでいつも助かってます。(外食となると)片道30分とかもうざらなんで、なかなか買いに行くってことも難しいですから」


やりがいを感じる


配食は1食650円程度。


まだまだ注文は少ないため、利益を出すのは難しいのが現状ですが、それでも、やりがいを感じています。

(椎葉村地域おこし協力隊 佐々木拓也さん)
「もう1回お弁当(を注文)っていうふうになったら、『おいしかったんだ』っていう安心感があります。頑張って良かったなと思います」

任期は残り1年余り


佐々木さんの協力隊としての任期は、残り1年余り。これからも食で村の人たちを笑顔にしていきます。

(椎葉村地域おこし協力隊 佐々木拓也さん)
「『椎葉の特産になるようなものを作ってくれや』みたいな感じでおっしゃっていただけるんで、そういうのをちょっと頑張っていきたいなと思っています。あとは配食をちゃんと、この施設が持続可能なものになるっていうのが一番の目標ですね」



(スタジオ)
佐々木さんは地域の人たちにおいしく食べてもらいたいと弁当の試作を重ねたそうで、椎葉に来てから15キロくらい体重が増えたそうです。

※MRTテレビ「Check!」4月25日(月)放送分から