「詐欺」という言葉はあえて使わなかった

しかし、佐伯さんが難しいと感じたのはその後の対応でした。相手の女性は、以前から投資を経験しており、金融の知識も持っている人物です。もし頭ごなしに「これは詐欺です」と否定すれば、女性は納得せずに他の金融機関へ向かってしまうリスクがありました。そうなれば、被害を未然に防ぐことは難しくなります。

また、万が一投資の話が真実であった場合、誤った対応によって女性に損害を与えてしまう可能性も考慮する必要がありました。こうした状況を冷静に見極めた佐伯さんは、警察が現場に到着するまでの間、あえて「詐欺」という言葉を使わずに女性への対応を続けたといいます。確信を持ちながらも、相手を刺激せず、冷静に時間をつないだ佐伯さんの機転が、この場面での最大の鍵となりました。