宮崎県内の最低賃金が、16日、改定され、1023円に引き上げられました。
最低賃金の引き上げ幅は過去最大の71円で、初めて1000円を超えました。
2015年の最低賃金は693円でしたので、10年間で330円上がっています。
働く側は期待が高まる一方、事業者からは、価格転嫁が十分に進まない中で人件費がかさみ、苦境を訴える声が上がっています。
(武澤直穂記者)
「きのうから実施された最低賃金の引き上げ。働く人たちはどう感じているのでしょうか」
(大学生)
「うれしいです。もっと頑張ろうと思います」
「上がるなら、もっと(シフトに)入ってたくさん稼ぎたい」
(記者)
「今のアルバイト先は最低賃金で働いている?」
(大学生)
「そうですね、ほとんど最低賃金です。(時給が上がると)モチベーションも上がると思う」
「趣味に使うお金が増えたりとか、プライベートのお金が増えるのは嬉しいな思う」
一方、こちらは宮崎市に3店舗を構えるスーパー「ショッピングのだ」。
およそ100人の従業員のうち8割がパートやアルバイトで、最低賃金引き上げの影響について、野田 勝 社長は…
(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「時間給だけでなく、月給の方、この方たちも当然上げていかないと、(パート・アルバイトとの)逆転現象が起きてしまったりするので、それがちょっとネックになっている。1年間で1200万円ぐらい人件費が増える状況になりそうです」
商品の価格を上げると売れなくなるため、現状、価格転嫁はできない状況だといいます。
(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「切り詰めるところがなくなっているので、さらなる助成金などを探して、何とか対応していかないと経営を圧迫しすぎる。今回の賃上げは」
県内およそ130のスーパーや八百屋などが加盟する組合の理事長も務める野田社長。
国に対して次のように訴えます。
(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「『もうこれじゃ本当やっていけなくなる』ということは本当にたくさんの方々が言っております。どうしても余力のない中小企業、零細企業は経営難に陥る。大企業と同じような考えでは、無理だということを知ってほしい」
また、県中小企業家同友会の那須久司代表理事は、スーパーだけでなくさまざまな業種で価格転嫁が十分に進んでいない現状があると話します。
(宮崎県中小企業家同友会 那須久司代表理事)
「仕入れ資材が上がった分は(価格)転嫁をしているが、人件費上げた分は転嫁ができていない問題があって、十分に価格転嫁ができていないという状況も賃上げに大きく影響している」
過去最大の上げ幅となった今回の改定。
中小企業や零細企業には、存続に関わる厳しい経営課題が突きつけられています。







