マダニが媒介する感染症「SFTS」(重症熱性血小板減少症候群)についてです。
宮崎県は、都城市の60代の女性がSFTSに感染したと発表しました。
この感染症、県内の報告数はとても多くなっています。
県内では、今年に入って3人の感染が報告されていて、このうち、1人が死亡しています。
2013年3月からの累計の報告数は120件で、これは全国最多となっています。
「SFTS」はこれまで西日本を中心に感染が確認されていましたが、今年は関東地方でも初めて感染者が確認されていて、その脅威は全国に広まっています。
続いて感染経路です。
「SFTS」は、ウイルスを保有するマダニに噛まれることで感染します。
また、感染しているイヌやネコからヒトに感染する例も確認されています。
今回、宮崎大学などの研究グループは、あぶらとりフィルムを使って、ネコの皮脂からウイルス感染を見つける新たな技術を開発したと発表しました。
新たな技術を開発したのは、宮崎大学農学部獣医学科の齋藤 暁 准教授や獣医学科3年の福嶋優莉さん、宮崎市のどうぶつ愛護センターなどの研究グループです。
研究では、あぶらとりフィルムを使って採取したネコの皮脂からウイルスの設計図の役割を果たすRNAを取り出し、PCR検査にかけることで、ネコがSFTSウイルスや猫エイズに感染しているかどうか確認することに成功しました。
ネコの感染症の検査では血液検査が主流となっていますが、あぶらとりフィルムを用いることで、ネコへの負担を軽減するとともに、ネコが感染していた場合、検査する側の安全性の確保も期待されています。
(研究論文を発表した宮崎大学農学部獣医学科3年 福嶋優莉さん)
「私は幼い頃から人と動物の心身の健康を守る獣医師になりたいとずっと志してきて、この中で、今回、人の安全性を担保して、ネコの心身の健康にも良い方法の診断方法を開発できたという事実を受けてとてもうれしく感じている」
この研究は、現在、特許を申請中で、精度を高めたうえで、実用化を目指したいということです。
実用化されれば、動物病院や家庭で簡単に皮脂を採取できるため、外出や病院が苦手なネコでも検査が可能になるそうです。