連日お伝えしているコメの動きですが、30日から中小のスーパーなどを対象にした備蓄米の随意契約の申し込みが始まりました。

ただ、申し込みにはいくつかの条件があり、対象から外れるスーパーも多いようです。宮崎県内でも関係者からは不満の声が挙がっています。

(小泉農林水産大臣)
「週明けには2000円の備蓄米を見るわけです。そして、町のお米屋さんに今度は1800円ぐらいのお米が行き渡ります」

備蓄米の随意契約について農水省は30日から2021年度産、いわゆる「古古古米」の申し込みの受け付けを始めました。

対象となるのは中小の小売店のはずですが、県内のスーパーからは「申し込みたいのに申し込めない」という声が相次いでいます。

(まえだストアー 前田陽一朗社長)
「ここさえいければ、大丈夫だった…」
(丸山敦子記者)
「ここをクリアするのは?」
(まえだストアー 前田陽一朗社長)
「かなり難しいと思います」

宮崎市にある「まえだストアー」の前田陽一朗社長は、備蓄米の随意契約について前向きに検討していましたが…

(まえだストアー 前田陽一朗社長)
「要は、年間千トンの取り扱い実績ということで、ここが難しい。うちの規模で言うと、あと30店舗くらいないと難しいかなというところ」

申し込みの壁となったのが、年間1000トン以上の取り扱い実績という条件。
店舗数の少ないスーパーはこの条件を満たすのが難しいといいます。

前田社長は、高止まりするコメの価格や先行き不透明な在庫量などから消費者のニーズがあると判断し、条件さえなければ20トンの備蓄米を申し込む考えでした。

(丸山敦子記者)
「もし、条件がなければ、申し込みしていた?」
(まえだストアー 前田陽一朗社長)
「そうですね。すぐにでも手を挙げたと思います。誰でも手に入るということでは物流のシステムが成り立たないんですけど、もう少し、敷居が低く設けられていましたら、我々のような単店でも取り扱いができたのかなと思います」

また、都城市で6店舗のスーパーを展開するパシオも、備蓄米の申し込みを希望していましたが、条件を満たしていないため、断念せざるを得ませんでした。

(パシオ 渋谷栄樹取締役店舗運営部長)
「ちょっとその辺の不平等感がある。特に、地方に対して少し厳しい対応であったかなと感じる」

今回、スピード感を持って放出された備蓄米。

ただ、パシオの渋谷取締役はコメの価格に与える影響は限定的ではないかと考えています。

(パシオ 渋谷栄樹取締役店舗運営部長)
「1回安く出して、これが売れてしまった後、そこの次の対応が令和7年の新米が出るまで、つなげられるかというのがすごく疑問視されると思う」

令和の米騒動はまだまだ続きそうです。

MRTが県内の複数のスーパーに取材したところ、このような声が聞かれました。

「大手に安いコメが優先されるのはおかしい」
「大手に備蓄米がいくのは仕方ないがお客さんは安い方に流れるかもしれない」という不安の声。

このほか「お客さんは高くても品質の良いコメを求めているので、備蓄米の随意契約はしない」という判断をした店もありました。

特に、地方では小規模なスーパーは消費者の生活には欠かせないものであり、今回の備蓄米の放出がほかのコメの値段にどのような影響を及ぼすのか注目です。