払えない人件費…“雇調金”終了で追い打ち

深見充総務経理部長
「ここで雇調金が切れる。もう借り入れしていかないと経営上厳しい、真っ赤っ赤なんで」

パソコンの画面をにらむ多田さん。経理部長と話し込んでいました。

深見充・総務経理部長
「2年間は銀行から借り入れしながら回していかないと。他の(旅館)どうしているんでしょう、逆にそれを知りたい」

これまでの2年間、従業員の給与の8割、毎月およそ500万円を国が支給する雇用調整助成金=いわゆる「雇調金」でまかなってきました。

雇調金は、2024年9月の豪雨に伴う特別措置で期限が延長されましたが、2025年末で終了。2026年からは旅館側が人件費を負担することになります。

多田さん
「もうだから切り替えました、考えを。助けてもらうとかじゃなくて自分らでやれるところはやって、借りなきゃいけない所は借りて…」

美湾荘では12部屋で一般客の受け入れが可能となりましたが、営業収益だけでは到底給与を支払えません。

解体前の旅館(2024年2月)

被害が大きかった中央の建物は解体を終え、新たに5階建ての建物を設ける予定です。

中央部分を解体したあとの旅館(2025年12月)

そのすぐそばに立つ、1本の松の木。

多田さん
「あとは全部撤去というか移設と言うか…これだけは何としてでも残してほしかった。(護岸工事で)砂とか持っていかれたとき枯れそうだったけど、たまに通った時に声をかけていたらがんばれよと言っていたら元気になってきた」