気象庁幹部「“津波が来ていない”と誤認するおそれ」

気象庁にはこれまで、津波を正しく観測できないことを迅速に伝える手段がなく、記者会見の場で説明するしかありませんでした。

気象庁・鎌谷紀子地震津波監視課長(当時)
「一番震源に近い輪島港・珠洲市長橋という所のデータが取れなくなっている」

地震の翌日、能登半島で津波の観測ができないと説明する鎌谷地震津波監視課長=2024年1月2日、気象庁

当時、気象庁現場トップの地震津波監視課長として、連日記者会見で説明に当たった鎌谷紀子さん。2025年4月に仙台管区気象台の台長に就任しました。鎌谷さんは能登半島地震での欠測について「津波を正しく観測できなかったことは非常に残念だった」と振り返りました。

仙台管区気象台・鎌谷紀子台長
「欠測はデータが発表されない状況になる。発表されないことで、そこには津波が来ていないのではないかという誤認をする可能性があった」

津波で大きな被害を受けた富山湾沿岸の鵜飼漁港=2024年1月3日、石川県珠洲市

しかし、実際には観測ができていないだけで、珠洲市には、隆起しなかった富山湾沿岸の「内浦」を中心に最大で約5メートルの津波が押し寄せ、甚大な被害が出ました。