花を咲かせること自体が珍しいという園芸植物、マオランの花が高知県四万十市の山里に咲き、所有者や近所の人たちを驚かせています。
四万十市の山間の集落中鴨川(なかかもがわ)地区。橋のたもとにある広場の隅にその植物はありました。ニュージーランドとオーストラリア・ノーフォーク島が原産の園芸植物・マオランです。別名・ニューサイランと呼ばれ、高さ2.5メートルほどの細長い葉が茂っています。その間に伸びた茎の先に赤茶色っぽく穂のようについているのがあまり見られない珍しい花だということです。

県立牧野植物園によりますと原産地のニュージーランドではかつてこのマオランの葉を繊維の原料として使っていたということです。中鴨川地区でも戦後、紙の原料として地域のあちらこちらで栽培されていたといい、所有者の朝比奈誠夫(あさひな・のぶお)さんは畑に生えていた株のうち一株を残し15年ほど前、現在の場所に植え替えたということです。
6月下旬、通りかかった住民から花が咲いていることを初めて知らされたという朝比奈さんは、実際に花を見て驚いたそうです。
(朝比奈誠夫さん)
「珍しい花やなあとは思うたですね。今まで見たことなかったからね。今まで大事に置いてきたのが良かったなと思うてね、残してきたがが。こんな花が咲くとは夢にも思うてなかったからね」
マオランは明治時代のはじめ頃に日本に入ってきたということですが、県立牧野植物園はマオランが四万十市で紙の原料として栽培されていたいきさつは興味深いとしています。
