熊本地震の発生から28日で1か月です。被災地・熊本では何が起きているのか。そして、南海トラフ地震が懸念される高知ではどんなことが教訓となるのか。現地で調査した高知大学の原忠(はら・ただし)教授に聞きました。

7月28日午後4時27分、熊本県を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町では最大震度7を観測しました。地盤工学が専門で防災にも詳しい高知大学の原忠教授は、8月8日から4日間被災地・熊本に入り、被害状況などを調査しました。

◆遠藤弥宙アナウンサー
「今回の熊本地震のメカニズム・特徴は?」
◆原忠 教授
「今回の熊本地震は、2016年の4月=10年前に大きな地震があったが、そのメカニズムと同じ。内陸の活断層、横ずれの断層がずれて、そこからエネルギーが発せられて、断層の近くに住む人や構造物が被害を受けた」
原教授が調査した宇城市、八代市、氷川町などではこうした“断層破壊”によって大きな被害が生じたと言います。
◆原忠 教授
「断層が上下に変形するような状況が見られたが、たまたまそういう所に道路・鉄道などの重要なインフラが通っていたので、そういうインフラが大きな被害を受けた」

建物への被害も大きく、熊本県内では4万棟を超える住宅が、全壊・半壊するなどして、今でも2000人を超える人が避難生活を余儀なくされています。
◆原忠 教授
「比較的耐震性の劣る建物、屋根が重い、耐震壁・壁が無い・薄い、少し古いタイプでかつ地盤が比較的軟弱な所に立っている建物の被害が大きかった。熊本に見られるような少し構造の古い建物、耐震性が劣る家屋は、当然県内にもある。耐震化率が100%にならないと、大きな揺れを受けた時に倒壊する可能性が高いので、県内でも“他人事”ではない」

◆原忠 教授
「2016年の熊本地震で耐震化された家は、当然耐震性が担保されているのは成果である。一方、繰り返しこういう地震が起こる可能性は高いので、日ごろから油断せずに強い揺れへの対応をしなければならない。継続しないといけない」
ライフラインも被害を受け、生活への影響も長期化しましたが、一方で原教授は、10年前の熊本地震の経験が生きている場面もあったと話します。

◆原忠 教授
「水・トイレに関することは、日常生活と少し異なる状況ではあるが、私が見た氷川町の避難所には行き届いている面があった。これは少し驚いた」
Q.10年前の教訓が生きている?
◆原忠 教授
「間違いなく経験値として生かされているし、住民の心構えだけでなく、行政の即時判断、物資の搬送手順、さまざまな面に生かされていると感じた」
今回の地震では、「イオンモール熊本」で爆発が発生し、一度は屋外に避難しながら再び建物に戻ったテナント従業員7人が死亡しました。

◆原忠 教授
「ある種、『判断を誤る場面』も出てくる。これは人間だから、そういうことが起こるかもしれない。大きな地震が起こったときは、“戻る”ことがリスクになることは共通」
今回のケースでは「避難誘導マニュアル」が作成されていましたが、原教授は、「それを訓練に繋げ1人1人が徹底することが必要だ」と話します。
◆原忠 教授
「マニュアルは“書き物”だけではダメ。徹底して、且つ訓練で根づかせないと、なかなかうまくいかない。そういう意味で今回の教訓は、『マニュアルが徹底したから万全の体制』というものではなく、『マニュアルができても、日ごろから訓練し見直して、且つ最終的に1人1人がそれを遵守する』という『強い心・人間力』がないと、被害を防げない」

Q.高知県民にとっても、「津波から逃げる・避難する」という点で、同じ心理が働く可能性がある?
◆原忠 教授
「そうですよね、いろいろな心理状況・混乱した心理状況の中でも、『命を守る』というのが最優先事項なので、『命を守る』ために『いま自分たちがとっている行動はどういうものなのか』を冷静な視点で見ないといけない」
Q.県民が今できる備え、やるべきことは?
◆原忠 教授
「改めて、『いま考えられていることが的確か』を見直すきっかけにもなる。南海トラフ地震は、『強い揺れ』があり、その後に『地盤災害』、『津波災害』、場合によっては『火災』という多重なリスクがある。そのリスクをまず知ることが大事。そういったリスクに対して『どう我々1人1人が行動するか』を、もう一度考え直し、今後の訓練や自分自身の身を守ることについて、いま一度考えていただきたい」














