2012年に廃校となった高知県四万十町十和地区の小学校。時を経て、校舎にやさしい“灯り”が戻ってきました。訪れた人が“あったまる”場所にしたいと、高知市から移住した若い夫妻が奮闘しています。
(髙田結梨アナウンサー)
「豊かな木々に囲まれたのどかな場所で新たな試みが始まろうとしています」

四万十町十和地区にある広井小学校です。1959年には最も多い107人の児童がいましたが、少子高齢化の波にのまれ2006年度には9人に。翌年には休校となり、2012年、地域の人たちに惜しまれながら廃校となりました。その後、シェア施設として週に一度ほど活用されていたこの場所を、地域の憩いの場にしたいと挑戦を始めた人がいます。高知市出身の高田直哉(たかた・なおや)さんです。
(高田直哉さん)
「基本5時には来て、お弁当を作らないと道の駅の販売時間に間に合わなくなっちゃうので」
直哉さんは、2年前家族とともに十和地区に移住。自宅近くで民泊を経営する傍ら、4月から道の駅「四万十とおわ」や「よって西土佐」などで弁当の販売を始めました。飲食業に携わっていた経験を生かし、「お客さんの笑顔のために」と心を込めた弁当を作っています。
(高田直哉さん)
「(大変だとは)あまり思ったことがないですね、自分のやりたいことなんで」
直哉さんの挑戦は、この先にあります。
(高田直哉さん)
「廃校を活用してカフェをやったら面白いんじゃないかと、妻と話してやることになりました」
当時の面影を残したまま、カフェとして生まれ変わらせる。妻の樹利奈(じゅりな)さんと、二人三脚での挑戦です。

(高田樹利奈さん)
「当時の広井小学校の生徒たちの作品が靴箱に飾ってありました。地元の方がここを『もっと活用してほしい』『大切に使ってほしい』という思いを知っているので、きれいに維持できたら」店名には、地域の人たちの思いを込めました」
「この懐かしい景色と校舎で“あったまる空間”を作っていきたいということで“まるカフェ”にしました。年齢問わずお年寄り、子ども、地域の人、観光客、いろんな方にここを利用してもらいたい。そのために素敵なあったかい料理を出せるように頑張っていきたい」
いよいよオープンの日がやってきました。カフェを開くのは、もともと会議室だった場所。大きな窓から差し込む柔らかな光がコンセプトにぴったりです。お客さんを待たせないよう、開店時間の5時間も前から2人でしっかり準備をしました。

(高田直哉さん)
「オープン日は最初で最後なのでしっかりおもてなしできるようにやりたいなという気持ちでいっぱいです」
午前11時。廃校まるカフェ、いよいよオープンです。さっそくお客さんがやってきました。

「いらっしゃいませ」
記念すべき最初のランチのメニューは、「油淋鶏」!国産の鶏肉をカリッと揚げ、あつあつのところにたっぷりの薬味をのせ、甘酸っぱいタレをかけました。サイドにはほうれん草のおひたしにタケノコの煮物。つやっつやのご飯は四万十町産の「にこまる」と「十和錦」をブレンドしました。十和地域でとれた山の恵みがたっぷりです!

(高田直哉さん)
「一食でお客さんが楽しめるようにボリュームある食事と見た目、(料理が)来た時にわーっと驚くような感じにこだわりました」
(四万十市西土佐から)
「米がめっちゃおいしい。野菜も食べれてお肉だけじゃなくて大満足です。見た目にもおいしいです」
赤ちゃんを抱いたお母さんがやってきました。3人の子どもがいる直哉さんと樹利奈さん。お母さんもゆっくりと食事ができるよう、ちゃんと赤ちゃん用の椅子も置いておきました。

(四万十町・十和地区から)
「十和地区はお店も限られているので、こういった飲食店が増えるのは素直にうれしいなと思いました。地域の方も『子どもたちの声が聞こえんなった』とさみしい代わりに、(町に)にぎわいが戻ってくることはうれしいことだと思う」
訪れる人が“あったまる空間”にしたい、と始めた「廃校まるカフェ」は、さっそく温かな賑わいに包まれました。
(高田直哉さん)
「カフェをやって継続していくことが今後大事になってくるので、地域のみなさんのためにも頑張っていきたいと思う」
(高田樹利奈さん)
「理想としていたここであったまるような空間づくりができたんじゃないかと思って、これからもホッとできる場所を皆さんに提供していきたいなと思います」
かつては子どもたちのにぎやかな声が響いていた校舎。時代の流れとともに役目は変わっても、学校が地域の人たちをつなぐ場所であることに変わりはありません。













