【北海道南西沖地震】
1993年7月12日午後10時17分に発生。震源は北海道南西沖。M7.8、最大震度は5(当時の震度階級)。周辺沿岸では1m以上の津波を観測。北海道内で201人が死亡、28人が行方不明、1000棟を超える住宅が全半壊。
1993年の「北海道南西沖地震」の発生後、旅館がある釜石市にも津波警報が発表されました。当時、岩﨑さんは宿泊客を避難させ、1人、宝来館で荷物の番をしていたといいます。

◆岩﨑昭子さん
「マイクロバスでお客様に避難してもらって、自分だけ旅館に残って、朝までずっとお客様の荷物を守っていたんです。その時、ラジオから聞こえてきた(北海道)奥尻の皆さんが叫んでいる声が、私たち釜石の地域のイントネーション・言葉遣いと、全く一緒だったんです」
◆岩﨑昭子さん
「そしたら、ラジオで叫んでいる人たちの声が、自分の声に思えたんですよ。“宿”っていうのは『人の命を守んなきゃなんねえんだ』と、教えてもらったと思った」
この時、旅館を営む者として「宿泊客を守る」という“使命”が芽生えたという岩﨑さんは、津波経験者の「津波からは山に逃げろ」という“教え”を受け、旅館を建て直す時に、山へ逃げる「避難道」を作りました。
そして、14年前の“あの日”。東日本大震災が発生した直後も、岩﨑さんは「山へ逃げる」よう宿泊客らを避難道へ誘導しましたが、そこに“思わぬ落とし穴”が待っていたのです。