高知県立美術館所蔵の絵画に贋作の疑いが浮上している問題で、調査を進めている県立美術館は、「贋作の可能性が高まった」とする中間報告を行いました。
贋作の疑いが持たれているのは県立美術館が所蔵する油彩画「少女と白鳥」です。1919年にドイツ人画家のハインリヒ・カンペンドンクが描いた作品とされ、県立美術館は1996年にこの絵画を1800万円で購入。これまでに館内で展示したほか、県外の美術館にも貸出をしていました。

所蔵する作品の贋作の疑いを調査していた徳島県立美術館から2024年6月、この「少女と白鳥」が贋作師ヴォルフガング・ベルトラッキ氏が描いた贋作ではないかとの情報提供を受け、県立美術館も調査を進めていました。

県立美術館は7日、県庁で会見を開き、調査の状況について中間報告を行いました。報告によりますと京都大学の専門家に絵画の調査を依頼したところ、この作品から1910年代に普及していない4種類の絵の具が検出されたことが明らかになりました。また、ベルリン警察の情報提供を受け、絵画のラベルについてベルトラッキ氏が自作したものであることが分かったということです。これを受け県立美術館はこの絵画について「贋作の可能性が高まった」と発表しました。

(高知県立美術館 奥野克仁 学芸課長)
「我々もだまされていたかもしれませんけれども、県民の皆さんにも同じだまされていたということをさせてしまった味あわせてしまったことに関しては素直にお詫びしたい」

(高知県立美術館 安田篤生 館長)
「白黒、この際、つけられるものならつけようと、一度、疑惑が出た以上はどこかで決着はつけないといけない」

県立美術館は専門家からの報告を受けた後、年度内をめどに「少女と白鳥」が本物かどうか最終判断を示すとしています。