鹿児島・徳之島

鹿児島県の離島、徳之島。この島は2021年7月、生物多様性が認められ「奄美・沖縄」として世界自然遺産に登録された。以来、島のあちらこちらで見かける「世界」の文字。そんな祝福ムードの中、そのアスリートは黙々と走り込んでいた。

マラソン日本最速ランナー 鈴木健吾選手

愛媛県宇和島市出身 鈴木健吾選手

鈴木健吾選手。愛媛県宇和島市出身で、日本マラソン界「歴代最速ランナー」だ。

富士通陸上競技部の鈴木健吾選手が歴史を変えたのは、'21年2月のびわ湖毎日マラソン。コロナ禍で海外招待選手がいない中、マラソン5回目の鈴木選手は、早春のびわ湖を快走。優勝タイムは2時間4分56秒。日本人初の4分台を叩きだし、当時の日本記録(東京オリンピック代表・大迫傑選手)を33秒も更新する圧巻の走りで、歴代最速ランナーの座についた。

日本記録保持者となり約1年後、2022年1月上旬からは、恒例の鹿児島県奄美大島合宿を10日間、さらに隣の徳之島に移動しマラソン強化練習を重ねていた。

そんな鈴木選手にびわ湖毎日マラソンを振り返ってもらうと、当時は意外にも、成し遂げた事の重大さにピンときていなかったようだ。

「自分では4分台が出るとは思っていなかったんです。でもレースの終盤、沿道から『4分台いけるかも』という声が耳に入ってきて、そこで初めて意識しました」
(ゴール直後は?)
「そうですね、逆に『これが4分台か』みたいな…。日に日に、実感してきたという感じですね」