昨夜、今治市沖で貨物船同士が衝突した事故で沈没した船の乗組員2人の捜索が続いています。 海の難所ともいわれている現場海域で何が起きたのでしょうか。

下川綾那記者
「こちらが衝突した幸栄丸です。衝突の際にできた傷でしょうか、前方が大きくえぐれているのが確認できます」
穴があいた貨物船の船首。事故の激しさを物語っています。

事故が起きたのは2日午後7時40分頃。 今治市沖の来島海峡の西口付近で、三重県鳥羽市の貨物船「せいりゅう」が、今治市の貨物船「幸栄丸」と衝突し、およそ1時間後に沈没しました。

この事故で「せいりゅう」の乗組員5人のうち3人は救助されましたが、船長の北井宗祐(63)さんと一等航海士の渡辺侑樹さん(24)が行方不明となっていて、海上保安部の懸命な捜索が続いています。
一方、「幸栄丸」の乗組員4人は無事でした。

せいりゅうは水深およそ60メートルの海底に沈没したと見られていて、潜水士による捜索も行われましたが2人の発見には至っていません。

石灰石2200トンを乗せ大分県から岡山県に向かっていた「せいりゅう」。
一方、「幸栄丸」は何も乗せてない状態で兵庫県から山口県へ向け航行していたということです。

事故が起きた現場海域は潮の流れが速い上、船の往来が多い「海の難所」として知られ、潮の向きによって6時間おきに右側航行と左側航行が変わる世界でも珍しい航行ルールが定めらています。

地元の漁師
「本線航路が潮によって変わるのでなかなか難しい。ここらは潮は結構早いところ。慣れてなかったら難しいかもしれん」
現場の海域ではおととしにも貨物船がケミカル船と衝突して沈没し、3人が死亡する事故が起きていました。

下川記者
「午後1時前、今海上保安部の職員が幸栄丸の中に入っていきます。これから調査が行われます」
海上保安部は行方不明となっている2人の捜索とあわせ、2日午後から幸栄丸の船体状況を確認するとともに、関係者から事情を聴くなどし事故の原因についても調べを進めています。