愛媛県今治市にある、国の登録有形文化財「今治ラヂウム温泉」の創業者・村上寛造に関する新たな事実が判明しました。

新事実は、今治市立図書館の開館100年を記念したイベントで、寛造のひ孫にあたる村上恵理学芸員が報告したものです。

映画館などを備えた今治ラヂウム温泉の浴場施設は、1927年に開業しました。

今回、新たにわかったのは、その年に、寛造が広島県竹原市で、水難救助用の船を製造する会社も設立していたというものです。

(学芸員・村上恵理さん)
「来島海峡は海の難所で知られているので、本州から今治に航路が結ばれて、船で行き交うにあたって、水難救助はすごくその時代には重要だった」

さらに村上学芸員は、瀬戸内エリアで中心市街地のまちづくりという「陸の事業」と、海上交通の安全に関わる「海の事業」を、あわせて展開していた点にも注目しています。

(学芸員・村上恵理さん)
「陸海一体の事業展開は、当時の100年前の地方都市では、非常に画期的な事業の展開だった。竹原に造船会社(設立が)わかったことで、今治だけではなく広島県との交流のつながりが、今回新たに芽生えつつある」

訪れた人たちは村上学芸員の報告に耳を傾けながら、先人が手がけた取り組みに思いをはせていました。

(参加者)
「村上(寛造)さんがなぜ竹原で、事業を起こそうとしたのか大変興味深い」

一方、今治ラヂウム温泉の建物には、ある大きな特徴が…

(学芸員・村上恵理さん)
「全体を船の形としてデザインしているのが特徴」

今回の新事実で造船や海運という創業一族の生業と、船をイメージした施設のデザインとの関連性も判明しました。

建物の正面から張り出した塔は、船のへさきを思わせます。

また、壁面には波を表現した造りも見られ、波をかき分けながら進む躍動感が伝わってきます。

今治ラヂウム温泉では今後も、施設の歴史に関する調査を続ける方針です。