今治で発生した山林火災で目前まで炎が迫る中、焼失を免れた名もなきサクラはことしも春を迎えて咲き誇り、見る人の心を癒しています。
JR伊予桜井駅。山林火災による飛び火は、ホームにまで及び、避難指示が出される中、列車の乗り降りはできませんでした。
鎮圧が宣言され日常が戻り、駅からほど近い6本のサクラが満開を迎えました。
(高校生)
「ここが燃え始めたときにいて、2番線の竹が燃えているのを見たその時、怖いなと思いました。今咲いている木がきれいですし火事で燃えたら悲しいので燃えなくて良かった」
去年、今治と西条を結ぶ区間で開業百年を迎えた予讃線、
サクラの名を冠したこの駅、かつて国鉄の時代には急行列車が停車して賑わいました。
サクラは、そんな駅の歴史を見守り続けました。
――いつもJRを利用?
(高校生)
「はい、通学と部活の時。学校の近くの駅が無かったら不便なので大変だなと思った。サクラが残っているので良かった」
一時、避難指示が出されていた愛媛県西条市楠河地区では、笠松山から世田山まで山林火災が拡大していました。
1300年の歴史を誇る寺院「世田薬師」にも火の手は及び、一部が消失しました。
(世田薬師住職・田中誠時さん)
「24日このあたり昼から夜火の海になったのですが、前もって対策をしていたので山の上に水を運んだり、大型ヘリで水をかけていただいて、何とか防ぐことが出来ました。皆さんが夜寝ずやってくれたので、南の愛媛県西条市には燃え広がらなかった。本当にありがたい」
守られた本堂は、満開を迎えたソメイヨシノやシダレザクラに囲まれていました。
(参拝者)
「世田山と笠松山は、1週間に1回くらい行ったり来たり健康のために登っていました。残ったサクラを見て、ちょっと嬉しいです」