その女は、過去にも赤ちゃんを産み“殺し”ていた。

「産んだ子どもはどうなりましたか?」
「…分かりません」
「調書には『汲み取り式のトイレに落ちていきました』とあるが、どちらが正しいですか?」

松山地裁41号法廷。弁護士から投げ掛けられる質問に、被告の女は言葉少なに答える。

「調書の方です」
「分からないと言ったのはなぜ?」
「…思い出せなかった」
「赤ちゃんを助けようとは思わなかった?」

女はうつむき、黙り込んだ…。