昭和11年7月に作られた記録映画をもとに製作された、昭和初期の花巻駅周辺を情景として表現したジオラマが岩手県花巻市で公開されています。

このジオラマは昭和初期の花巻駅やまちの雰囲気を感じてもらおうと、高村光太郎記念館が企画、東京の土屋直久さんに依頼して製作されたものです。
高村光太郎記念会の初代会長である佐藤孝房さんが昭和11年に撮影した、岩手軽便鉄道の記録映画に残る花巻駅周辺の街並みを表現しました。

ジオラマのサイズはヨコ180センチ、タテ60センチとかなりの大きさ。
当時の花巻駅は岩手軽便鉄道、花巻電鉄、日本国有鉄道の三路線が乗り入れ、かなりの賑わいを見せていたことがわかります。
こちらが日本国有鉄道の花巻駅。

着物姿で駅の案内板に見入る親子の姿に、当時の日常が垣間見られます。
そしてこちらは岩手軽便鉄道の花巻駅。

二階建ての駅舎です。2階にはレストランがありました。
外観からも、かなりハイカラな駅舎だったことが分かります。
こちらは岩手軽便鉄道の花巻駅構内。

停車している蒸気機関車のすぐ近くには給水塔と石炭台があります。
ここで水と石炭を補給し、列車は終着駅の仙人峠を目指しました。
こちらは、駅前にあったタクシー会社。

レトロな車の形状が、今見ると逆にオシャレでカッコ良いです。
会場では、モニターで昭和11年7月に撮影された記録映画を見ることもできます。

そこに映し出された当時の人々の姿や表情を見るだけでも、ここを訪れる価値があります。
(筆者は終点の仙人峠駅に「駕籠かき」の姿が映っていることに驚きました)

高村光太郎記念会事務局の高橋卓也事務局長補佐は「電気鉄道(花巻電鉄)を含めた3路線が乗り入れている駅は、当時は非常に珍しかった。是非、花巻駅の当時の賑わいを感じて欲しい」と話していました。

このジオラマと記録映画は11月30日(日)まで、花巻市の高村光太郎記念館で公開されています。