そのわずか1か月後。マスカットサイダーは復活に向けて動き始めます。
大船渡市に拠点を置くスーパーチェーンのマイヤが販売権を引き継ぐことを発表したのです。

神田葡萄園と同じく、震災で大きな被害を受けたマイヤ。
震災後はいち早く出張販売などを行い、被災した地域住民たちの食のライフラインを支えました。


地域密着型のスーパーだからこそ地域に愛されてきたマスカットサイダーを引き継ごうと考えたのです。

(マイヤ 井原良幸社長)
「まずはグリーン(の瓶)を作んない限りは、同じ材料で同じ味は作れないんだから」

しかし復活への道のりは平たんではありませんでした。
復活を妨げたのは、特徴的な緑色の瓶です。同じ瓶を現在製造しているところはなく、特別に作ってもらうにはコストがかかります。
また新たな製造は仙台の会社が行うため味が変わらないようにしなくてはなりません。課題は山積していて準備には長い時間がかかりました。

春の復活決定から半年以上。販売のめどが立ったころには冬を迎えていました。
マイヤの井原良幸社長は強い思いで困難を乗り越えました。

(マイヤ 井原良幸社長)
「やはり陸前高田で作られて、長く文化ともなっていた神田葡萄園さんのマスカットサイダーが製造を止められるということで、これは引き継いでいきたいというような非常にシンプルな思いからやってやろう!という感じです」

商品開発を担当した大森康司さんも胸をなで下ろします。

(マイヤ 大森康司さん)
「今までの味を守りつつお客様に喜んでもらえるような商品、地域に愛される商品を作っていくということで大変な重いプレッシャーがございました。なんとか形にできそうな目途が付きつつありますので少し安堵しております」