お店で提供されていたのはなんと、昭和10年ごろ。
昭和10年に地元の新聞に掲載されていた広告がこちらです。

掲載されているメニューはなんと!「ざるそば」「ひやむぎ」「ホームラン印 野球そば」です。
日本最古の職業野球チーム「読売巨人軍」が創立されたのが昭和9年。
昭和10年といえば、まだプロ野球が一般的ではなく、大学野球の早慶戦の方が人気があった時代。後の大スター選手、長嶋茂雄さんも、王貞治さんも生まれる前。
そんな時期に「ホームラン印 野球そば」です。
「先見の明」があったとしか思えません。
そこで、直利庵の女将さん、松井裕子さんにお話を伺いました。
「私の祖父の松井弥兵衛は高校野球のシーズンになるとお店の仕事を投げ出して野球を観に行く、大の野球好きでした。新しもの好きの祖父は、昭和9年に仙台で行われた日米野球の試合を観に行ったのではないかと思います。そこでベーブ・ルースのホームランを見て感動し、『ホームラン印 野球そば』をメニューに加えたのではないかと思います」

確かに松井弥兵衛さんのお話をうかがうと、わんこそば、天ぷらそばや「カレーそば」などをいち早くメニューに取り入れたり、横綱そば、小鳥そばなど、今では「どんなレシピだったかわからない」といわれる変わったメニューのそばを考案するなど、アイデア豊かな人だったようです。
そんな弥兵衛さんがベーブ・ルースのホームランを見たら・・・・
そりゃ「野球そば」か「ホームランそば」を作りたくなるはず!