「物心が付く頃から貝が好きすぎて、3歳の頃から貝殻の収集に熱中していました」と話すほど大の貝好きの寺本さん。すぐに山田町に向かい、調査を開始しました。すると、養殖されているマガキにくっつく形で、数多くのヨーロッパヒラガキが確認されたのです。

漁協などへの聞き取りの結果、かつて試験養殖が行われていた山田湾だけでなく、北は宮古湾から、南は陸前高田市の広田湾まで、岩手県内7つの湾にヨーロッパヒラガキが生息していることが分かりました。

「天然で残っているとは思っていなかった」
寺本さんは生息範囲の広さと繁殖力の強さに驚いたといいます。
ヨーロッパヒラガキが日本に持ち込まれたのは1950年代初めのこと。北海道や岩手県などで養殖が試みられましたが種苗の生産がうまくいかず、岩手では1990年代初めごろ、山田湾での養殖を最後に消滅したとされていました。