
きみちゃん
「子どもができる可能性があるならっていう話を何度かして。とってしまったら(子どもを持つ)可能性として、ゼロになるというところがあったので」
先月25日、最高裁判所は、戸籍の性別を変えるために生殖機能を失う手術を求める「特例法」の規定を、違憲と判断しました。
「医学的に手術の必要がない人も手術をする」か、「性別の変更を諦める」か…。
「”過酷な”二者択一を迫っている」と、最高裁は指摘しました。
4年前、最高裁で訴えを退けられた臼井崇来人さん。
これからは女性から男性へと戸籍の性別を変え、パートナーとも法的に認められた夫婦として生きていきたい考えです。
臼井崇来人さん
「これからは胸をはって、公的機関に証明された家族になれるのが大きいのだろうなと。自分のからだと心に対して、幸せに生きる権利というか、義務だとも思う。当事者は、自分はどういうふうに生きたいか、しっかり見つめてほしいと強く願っている」
手術要件に揺れる、当事者たちの複雑な思いをきみちゃんは語っていました。
きみちゃん
「からだの事情で手術をしたくても、できない人も中にはいますし、(生殖腺を)とってしまったら自分のからだにホルモンを出す部分がなくなるので、いろいろな(健康への)弊害がある。いろんなリスクがあることを、トランスジェンダーの人たちは把握していると思う」
札幌市の加藤丈晴弁護士は、最高裁の決定は、当事者の「多様性」が広がりつつある今の時代を反映していると指摘します。
加藤丈晴弁護士
「一律に手術までしないといけませんと言ってしまうことが、いかに人権侵害性の高いことなのか、まさに憲法が決めた『自己決定権』、『自分のことは自分で決める』。そういったことが保障されることは重要」

2004年に「特例法」が施行されてから、性別を変えた人の数は1万人以上。
手術を望まない当事者の存在も可視化されたいま、誰もが自分らしく生きられる社会をどのように目指すべきか、問われています。