友人の危機を目の当たりにした男性は、とっさに、所持していた山菜採り用のナイフをクマの目に向かって突き刺しました。
すると、クマの標的は、男性に移ります。
クマは男性の足を払い、襲いかかりました。
男性は「体長1メートルくらいで、体は自分より小さなクマだったが、力は自分以上にあった」「このままじゃ、やられる。一か八か首にナイフを刺そう」と、クマの下敷きになった状態から、クマの首にナイフを刺しました。
そしてクマがひるんだすきに、離れることができました。

その後、その場にいた友人と2人がかりで、クマを蹴って“反撃”すると、クマはようやく登山道を下に降りて行ったということです。
男性は、左わき腹や太ももをひっかかれたほか、男性の友人は、首や太ももをかまれるなどのけがをしました。
また、崖に転落した同僚の男性に、けがはありませんでした。
自力で下山した3人は、途中、クマが待ち構えていたため、石を投げるなどして追い払いながら、山を下りたといいます。
取材に応じた3人のうち男性と、男性の同僚は「鈴や笛、火薬などを常に鳴らしながら、かなり警戒して登山していたが、近距離で遭遇するとは思わなかった」「無事でよかった。生きててよかった」と、緊迫の状況を振り返りました。