過去の教訓と積雪期に向けたハザードマップの確認
改めて、立ち入りが規制されている区域を確認します。
・十勝岳は、北海道上富良野町や北海道美瑛町などにまたがる標高2077メートルの活火山です。
・噴石の飛散に警戒が必要なのが、62-2火口から約3キロの範囲です。
・上富良野町の吹上温泉地区に「避難指示」が出されています。
・十勝岳温泉地区には「高齢者等避難」が出されています。
では、どのような防災行動をとればよいのでしょうか。北大大学院地震火山研究観測センターの青山教授は次のように指摘します。
▼役場や気象台から発表される情報に注意し、情報をアップデートし、ハザードマップを確認すること。
▼観光客は規制範囲の中に入らず、地元職員や宿泊施設のスタッフの指示に従って観光すること。
十勝岳は30年から40年周期で噴火を繰り返していて、最後の噴火からすでに38年が経過しています。
十勝岳は、北海道の中央部、大雪山系にある標高2077メートルの活火山で、気象庁が24時間体制で観測する「常時観測火山」の一つです。
いまから100年前の1926(大正15)年5月。十勝岳が噴火し、144人が犠牲となりました。最大時速100キロというすさまじい破壊力で押し寄せた泥流は、市街地までわずか25分で到達し、マチを壊滅させました。
このとき発生したのが、「融雪型火山泥流」と呼ばれる積雪期特有の現象です。十勝岳の積雪期は11月から5月ごろまで。水蒸気爆発で山肌の一部が崩れ、熱く焼けた噴出物が数メートルあった残雪を瞬時に溶かし、それが泥流となりました。泥流は木々をなぎ倒しながら斜面を下り、富良野川をつたい、市街地まで一気に押し寄せ、甚大な被害をもたらしました。
この36年後、1962(昭和37)年の噴火では硫黄鉱山で働いていた5人が犠牲に。1988(昭和63)年の噴火でも火砕流や噴石などが発生しました。
噴火を繰り返している十勝岳。現在は富良野川などにジャングルジムのような形の「堰堤」などが多数作られ、岩や流木を食い止めたり泥流の勢いを弱めたりする対策がとられています。
144人が犠牲になった100年前の噴火では「融雪型火山泥流」が被害をより大きくしました。このままの状態で積雪期に入ってしまうと危険性が高まります。融雪型火山泥流について、青山教授は次のように指摘します。
▼十勝岳は山の地盤が非常に脆く、小さな噴火でも崩れやすい。また、温泉や地下水など水が潤沢なため泥流が発生しやすい。
▼冬の場合、泥流が雪を解かしながら山を下るため、泥流が大規模になるおそれがある。
積雪期はより一層の警戒が必要です。上富良野町のハザードマップでは、何分後にどのあたりまで到達する可能性があるかという分数まで記載されています。
改めてハザードマップを見直し、自分の住んでいる地域がどれほど危険な場所なのかを把握することが大切です。また、雪が積もった際には、迅速に避難できる体制を整えて生活することが重要になります。






