60代のAさん「単純計算ができない。足し算、引き算…全部できない」

2月、出所を1週間後に控えたこの日。研究チームはAさんにある試みを行った。

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ギルドグループ・三木麻子代表
「Aさん、こんにちは。お元気でしたか?」

Aさん(60代)
「三木さん!?ギルドの人?」

出所後にAさんを受け入れる施設『ギルドグループ』の職員が研究の場に加わった。これまでは手紙でやりとりしていたが、直接話をしてもらうためだ。

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北海道医療大学 鈴木和 助教
「何か出所後の生活のことで、心配っていうのはありますか」

Aさん(60代)
「単純計算ができない。足し算、引き算、掛け算、割り算、全部できない」

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北海道医療大学 鈴木和 助教
「どうしようかね、買い物の時。そこらへん、買い物をどうするのか聞いておいたら?」

Aさん(60代)
「買い物どうすればいいですか?」

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ギルドグループ・三木麻子代表
「買い物は必要なときというか、何曜日はお買い物の日って決めていくことはできる一緒に」

研究チームが橋渡し役となって、Aさんの性格や苦手なこと、不安に思っていることなどを事前に知ってもらい、社会での居場所作りに役立てることが狙いだ。

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ギルドグループ・三木麻子代表
「もう絶対刑務所には戻らないぞって。戻らないためにどうやって生活しようって考えていますか」

Aさん(60代)
「静かにおだやかに。悪いことしない」


ギルドグループ・三木麻子代表
「過去、刑務所から出るときに、もうここには戻らないぞって毎回思ってはいたの?」

Aさん(60代)
「思ってはいるのだけれど、こう言ったら語弊があるかもしれないけれど、欲しくなったら取っちゃうぞ、みたいな。ばれないと思って」


ギルドグループ・三木麻子代表
「ばれないかもって思っていても、毎回ばれちゃうよね」

北海道医療大学 鈴木和 助教
「今回も静かに穏やかに悪いことしないで暮らしている中で、ギュってそういう(盗みたい)気持ちが動いたらどうするの?」

Aさん(60代)
「どうしたらってこっちが聞きたいな。そういう気持ちが湧いてきたら寝る。寝るかテレビをつけて、野球が好きだから野球を見て」

もう塀の中に戻ってこなくても済むように、出所後も対話は続く。

札幌刑務所の刑務官
「私はもうこの制服を着ているからなかなか外には行けないけれど、せっかくここで会って、社会に出るまでのお話をしたから、研究チームの存在を頭の片隅に置きながら社会で生活してほしいと思います。ここでのつながりが、何かの時に必要になってくるかもしれないから。社会に出てからが本番だから、頑張ってください」

Aさん(60代)
「はい」