忙しくてどうしてもご飯が作れない。
そうした家に出向いて手づくりの家庭料理を届ける「出張料理人」が北海道帯広市にいます。
笑顔も届けるというその活動とは。
午後7時の晩ご飯どき。

先崎章郎さん
「出張料理人の先崎です」

買い物かごいっぱいの食材を抱えてやってきたのは、先崎章郎さん(36)
2025年3月から、帯広市を中心に活動する「出張料理人」です。

先崎章郎さん
「きょうはたぶん10何品くらい作る」


電話やSNSで依頼がくれば、マイ包丁を携え、その家のキッチンに立ちます。

作るのは「家庭料理」。
材料費込みで料金6000円が基本です。

依頼主の女性
「(本を)読んでいる間に出てくる、すごくないですか?」

先崎さんはホテルで調理の見習いとして働き始めましたが、その後、医療用ベッドメーカーに転職。

管理職まで昇進したものの体調を崩し、職を離れました。

居酒屋を営む父に育てられ、一度は料理の世界に飛び込んだ先崎さん。

周りの人に助けられた経験から、自分も誰かを助けたい。
原点にかえり再出発することを決めました。

先崎章郎さん
「料理というのが一番頭に浮かんで、父は無理に決まってるべとそのとき言いました」

父の敏美さん(70)
「できることは、いっぱいやったほうがいい、商売をやっていけるだけもっと努力しなければいけない」

この日は、働きながら1人で3人の子どもを育てる大岸さんの家に出張料理にやってきた先崎さん。

先崎章郎さん
「レンコンと中華炒め的なものを作ろうかなと」
「(その場で考えている?)そうです、食材を余らせたくない」
「このあとは弱火でじっくりしみこませる感じで…」

ジャガイモ、ニンジン、ゴボウ鶏肉など10種類以上の食材を次々に調理。

から揚げにハンバーグ、きんぴらごぼうにトマトのピクルスなど、約1時間半で16品が完成です。


大岸舞さん
「子どもと一緒に過ごしたいなという思いがあって、『ごはんを作らなきゃいけない』とか、焦る気持ちが、料理が出てきてくれることで心の負担が減る」

先崎章郎さん
「食って誰かを喜ばせたりすることが大きい仕事だなと改めて思ったので、いろんな地域に行って、そういう方々の助けになりたい」

たくさんの家に温かい食事と笑顔を。

再挑戦を始めた出張料理人が、きょうも十勝を駆け回ります。







