■《障害のある人たちが経済的な自立を目指すために…》

製造業や食品加工などに取り組む『B型事業所』が一般的な中、あえて『D.Factory』は、自動車整備に特化しました。

A型とB型が存在する『障害者就労支援』の事業所。雇用契約を結ぶ『A型事業所』は、給料を受け取り、最低賃金の保証もあります。一方、雇用契約を結ばない『B型』の場合、工賃と呼ばれる対価に最低賃金の保証がありません。

北海道内の『B型事業所』の平均工賃は、2022年度、時給換算で、わずか275円。

これに対し『D.Factory』の工賃は350円からに設定。高い人で500円ほどにまで達し、平均の約1.8倍。専門性が高い分野に特化した結果です。

NPO法人『ニルスの会』小林誠理事長
「親御さんも一生いるってわけでもなく、自立するためには、ある程度の働いた対価としての見合いを出せるような事業をやりたいっていうのが思いだったので…」

障害者の社会的、経済的な自立に向け、企業との連携が進んでいます。この日は、洗浄したアルミホールの納品日です。

(記者:洗浄の出来栄えはどうですか?)
『D.Factory』に通う林幸志郎さん
「けっこう良いですよ」

(記者:仕事は慣れましたか?)
「はい、車が好きだから。アルミホイールを持ってみます?これは“フォレスター”です」

(記者:車種も詳しい?)
「ホイール見れば、すべてわかる」

洗浄したアルミホイールの納品先は、自動車のリサイクルなどを手掛ける『鈴木商会』です。自社でも福祉に関する事業を展開していることから、『D.Factory』に作業を委託しています。

鈴木商会 ELV事業部 丸山敦次長
「洗浄のクオリティ、仕事の速さが大変当社と合っている」

NPO法人『ニルスの会』小林誠理事長
「4つのDからとって“ドリーム”、出発の“デパーチャー”、運転の“ドライブ”、発見の“ディスカバリー”という、自分を見つめ直したり、ここから出発していただいたり、自分の人生をもう一回楽しもうということで『D.Factory』のDとしました」

自分が“好き”と思うことを活かして、障害のある人たちが、ここから走り出せるように…。その挑戦は、一歩ずつ確かに広がっています。