「被災者に元気を」女性隊員として気づきも

 「体を動かす仕事がしたい」と警察官を志した山崎さん。
 警察学校時代の女性隊員との出会いが、進む道を決めました。

道警広域緊急援助隊特別救助班 山崎公子隊員
「機動隊の見学で救助訓練を見せてもらえる機会があって、先に女性隊員が1人、特務中隊に在籍していたんですけれど、女性隊員が中心になって活動している訓練で、すごくかっこいいな、自分もそういった活動がしたいと憧れて特務中隊を目指しました」

 「機動隊特務中隊」は、水の事故や山岳遭難の現場で活躍する人命救助のスペシャリスト。
 山崎さんは2021年に特務中隊に配属され、男性隊員と同じ厳しい訓練を積み重ねてきました。

 山崎さんの今回の活動について、上司の小山内さんは「男性と同じように活躍していただいた」と評価します。

道警広域緊急援助隊警備部隊 小山内雄亮副官(42)
「(山崎隊員は)本当に精神的にも強いですし体力もあります。男性隊員と比べると体格面は少し劣る部分もあるかもしれませんが、本人が努力していますし、実際に訓練や現場でも差がありません。むしろ知識や技術は(男性隊員より)勝る部分もあり、頼もしい存在です」

小山内副官(左)と山崎隊員(右)

 一方で、女性隊員としての「気づき」も。
 石川県で活動した8日間、山崎さんは男性隊員と同じ宿舎で寝泊まりし、着替えはテントを利用していました。

宿舎の一角に設置した縦型テントが女性更衣室に(珠洲市産業センター 2月)(道警提供)

道警広域緊急援助隊特別救助班 山崎公子隊員
「自分たちの活動拠点もそうなんですけれど、被災地は、男性用・女性用というプライバシーの区別をつけることが難しいと思いました。断水でトイレが使えなかったり、更衣室が崩れていて使えなかったり。自分もテントを個別で持っていって対応しましたが、そういうことを考えると、避難所生活を送る上で、防犯対策も含め、プライベートな空間を作れるような災害資器材を用意しておくのも大切だと思いました」

宿舎で指示を受ける道警の隊員たち(珠洲市産業センター 2月)(道警提供)


 3月11日で東日本大震災から13年。
 その後も2016年熊本地震、2018年北海道胆振東部地震、今年の能登半島地震と、大きな地震が繰り返し発生してきました。
 山崎さんは、女性隊員だからこそ災害現場で果たせる役割もあると考えています。

「災害現場でしっかり活動ができる隊員になりたい」と話す山崎隊員

道警広域緊急援助隊特別救助班 山崎公子隊員
「人命救助活動の中でも一番つらい思いをするのが災害現場だと思います。そういった場面で、女性隊員ならではの安心感というのはちょっと違うかもしれませんが、『男性隊員だけでなく女性隊員も来ているので一緒に頑張りましょう』という気持ちを持っていただけたらと思っています。女性隊員が声掛けをすることで元気をもらえるという方もいらっしゃると思うので、しっかり活動ができる隊員に自分もならなければいけないですし、『やりたい』と思う人がいればぜひ目指してもらいたいです」

◇取材 HBC道警担当キャップ 大佐賀南