河川工学専門家「川底の穴は相当大きいのではないか」


漏水後、矢作川の右岸側で行われてきたのが、取水口の高さにまで水位をあげる工事です。


土のうと鉄板を使って、直接取水口から水をとりこむべく、懸命の作業が続けられてきました。すでに取水口の高さにまで水は到達し工事は概ね完了しています。

18、19日にも自然取水が始まる見通しです。



(宮田あやか記者)
「明治用水頭首工の左岸では、クレーン車が次々に土のうを積んでいて、本格的な給水再開に向け、連日作業が続いています」

また、14日から、左岸側の取水口からも水を取り込むための工事が始まっています。

取水施設を管理する東海農政局は、この応急対策工事で8月末には、平年並みの水を確保できるとしています。

一方で漏水箇所の詳しい調査と復旧工事も待っています。

東海農政局ではその方法などを議論する、2回目の会合が16日午後3時から開かれました。今後の見通しについてはまもなくはっきりするとみられます。

では、河川工学の専門家の目にはいまの現場がどう映るのでしょうか?



名古屋大学の田代喬特任教授と、15日に確認しました。

まず目についたのは、漏れ出た水が、下流側で噴き出していたポイント周辺の変化です。多くの土砂が溜まっていました。

(名古屋大学 田代喬特任教授)
「穴の規模が、土砂の量と対応してくるので、相当“大きな穴”が広がっているのではないかと推測される」


溜まった土砂の量から推測できるのは、漏水の原因と見られる川底の穴は、かなり大きいということ。




漏水箇所の詳しい調査をするために、水が流れ込まないよう土のうを積む工事がきょうも行われていますが、この時期だからこその心配が…。

(名古屋大学 田代喬特任教授)
「もし雨がまとまって降って、水かさが上がったりすると、積んでいる土のうが流されてしまう(可能性も)」

14日梅雨入りした東海地方。

今後の雨が、調査・復旧のための工事のスケジュールに影響を与えかねないと田代特任教授は指摘。最悪の場合、10月ごろまで着手できない可能性もあると話します。

(名古屋大学 田代喬特任教授)
「本格的に台風シーズンがやってくる時には、何も手をほどこせない。出水期が終わったタイミングで改めて、本格的な復旧・補修作業をしていくのではないか」

梅雨のあとは台風の心配…。雨の季節に更に頭の痛い問題です。

明治用水の完全復旧はいつになるのでしょうか。