TikTokの15秒動画でベストセラーに

小説を書くことが趣味だった汐見さんは、初め、無料の小説投稿サイトで連載。
戦後70年に合わせ、2015年の8月に完結させました。

これがサイトを運営する出版社の目に留まって、翌年書籍化。まずまずの売れ行きでしたが、4年後の2020年、事態が急展開します。

(汐見夏衛さん)
「私のところにSNSで『どこに売ってますか』っていう質問が何件か来て、急にどうしたんだろうと思って。何年も前の本なのに、探してる子が何人もいるのはどういうことなんだろうと思って」

突然、汐見さんや出版社に、若者や書店からの問い合わせが殺到するようになり、ネットでは古本が高値で取引されるようになりました。

表紙が写っているだけであらすじもない。たった15秒の動画ですが、再生回数、実に420万回。若者たちが口コミで作品の評判を広げていたのです。

(汐見夏衛さん)
「出版関係の方もびっくりしていて、今の子たちは大人がポスターとかを作って広告したものよりも、同世代の子が純粋に勧めるのが、そんなに力があるんだな…と」

この反響には、出版社側も驚いたといいます。

(スターツ出版 担当編集 相川有希子さん)
「デビュー作だったので、5万とか10万とかは通常刷らない。出版から4年経って、TikTokで火が付いたのは、すごくびっくりしています。
私たちが発信するものではなくて、その子供たちが独自に口コミしていく、その力の厚さというのはすごいなと我々も感じた」