「国際貢献」から「労働力確保」へと舵を切る政府

元々は日本の技術や知識を途上国へ伝える「国際貢献」の位置づけで、1993年に始まった「技能実習制度」。
今や33万人近い外国人実習生が、全国で製造業や農業に従事し、実態は“安い労働力”扱いとなっている側面があります。
受け入れ先での虐待や、給料未払いなどの実習生への人権侵害はたびたび指摘され、海外からは“奴隷制度”だという批判すらありました。
2023年4月10日、政府の有識者会議でついに技能実習制度の廃止と、労働力確保のための新制度を検討することになったのです。
“国際貢献”から“労働力”へ。30年を経て、本音が表に出てくる形で大きく舵を切りました。

技能実習生を受け入れている、愛知県高浜市の「公益社団法人 トレイディングケア」。
主に介護職の実習生を受け入れ、日本語や介護についての指導を行うほか、実習生が孤立しないよう、地域ぐるみで支援しています。
技能を身につけてもらう実習を大切にしていますが、介護の現場でも今や彼らは、なくてはならない存在です。

(公益社団法人トレイディングケア・新美純子代表)
「(外国人に)助けてもらわないと日本は成り立っていかないので、彼らが安心できる地域をつくらないといけない」
実習生たちに、日本の方向転換をどう受け止めているのか聞いてみると…。
(インドネシアから来た技能実習生)
「技能実習制度がなくなるのはいい。(他の実習生は)日本語できなくて、仕事もちょっとできないとか(問題があった)」

新しい制度では日本語ができなくても来日しやすく、来日前後に言葉を学べる仕組みもできる予定で、実習生からは期待の声が聞かれました。