中国や韓国からの輸入アサリを熊本産として販売…報道後大きな社会問題に発展
CBCのカメラが産地偽装の瞬間を捉えたのは3年前、熊本県の有明海。中国や韓国から輸入したアサリを一旦干潟に撒いてすぐに回収し、熊本産として違法に販売する産地偽装が長年にわたり横行していました。

偽装の当事者の証言も交え、ことし1月にその実態を放送すると、大きな社会問題に発展。報道後、市場に多く出回っていた“偽装された熊本産アサリ”は姿を消し、正しく”中国産”と表示されたアサリが数多く並ぶようになりました。

安心安全の中国産アサリ…それでも売れない現実
消費者が騙され続けていた状況が改善し、問題は解決したかに思われました。しかし、今度は正しく中国産と表示されたアサリが売れない事態に。そして、アサリそのものの取り扱いをやめる店が急増しました。
手に取らないワケを尋ねると、多くの消費者は“安全性への不安”を口にしました。

中国産アサリは本当に、多くの消費者がイメージするような“安全ではないもの”なのか?その疑問を解消するため、輸入食品の検査を行う神戸検疫所を訪れました。
ここでは中国や韓国から輸入されたアサリの、貝毒や残留農薬の検査が行われていました。輸入アサリはこうした安全性や品質の検査を経て、国内に流通しているのです。
一方、アサリ料理が売りの中華の名店は“大盛況”

横浜の中華街に店を構える広東料理店「吉兆」。この店の一番人気のメニューは中国産や韓国産アサリを使った、アサリそばです。
客に話を聞いてみると、美味しいからか、アサリの産地も特に気にならなかったといいます。
同じ輸入アサリでも、スーパーでは売れず、飲食店は大盛況。背景にあるのは、消費者の“国産への信仰”だと感じました。
取材記者の思い
国産アサリと中国産アサリ、何を選ぶかは消費者の自由です。しかし、偽装されたアサリが一掃され、正しい産地が表示される市場になった今、消費者も正しい知識を持って商品を選択してほしい。そんな思いで、国産、中国産、それぞれの現状を取材しました。
アサリは私たち日本人に古くから親しまれてきました。一方で今は、国産アサリの漁獲量が大きく落ち込み、輸入品に頼らざるをえなくなっているのも事実です。先行きが不透明なアサリの行く末を、徹底取材しています。