トゥレットと闘う若者 一番の壁は「仕事」

彼らの大きな壁は社会で働くこと。CBCテレビが行ったアンケートでは、18歳以上のトゥレット症当事者15人のうち13人が”仕事に関して困ったことがある”と答えた。

中には、
・接客中に顔をしかめてしまう症状が出てしまい、お客さんに怒られた
・ひとり言がうるさいと言われた
・職場でいじめを受けて、辞めることにした
と回答する人も。


怜音さんの友人、酒井隆成さん(23)は「就職」で悩む一人だ。

(怜音さんの友人・酒井さん)
就職活動のとき面接があると思うんですけど、その最中でも体が動くし、日本の仕事は静かにできることを前提にされている場合が多くて、『静かにできないならちょっと…』という対応をされてしまうこともある」


手が震えて箸が折れてしまう男性 日常生活での苦悩

神奈川県内でひとり暮らしをする酒井さん。3月に大学を卒業したが、就職はできていない。趣味はパソコンでイラストを描くことだというが…。


(酒井さん)
「まずは準備運動から始めていきます」

そう話し、腕にグッと力を入れた酒井さん。だが、いざペンを持つと…手が震えてしまい、なかなか思うように進まない。


(酒井さん)
「なかなか体が動いちゃうので鎮めながら。かけるときにかけるタイミングで書くようにしているんですけど…。趣味をするのにも一苦労といった感じです」

1本3500円のペンは2年間で30本以上が壊れてしまったという。


身体が勝手に動いてしまう悩みは食事をするときにも…。


(酒井さん)
「おっとっと危ない」

茶碗を落としそうになる場面や、

(酒井さん)
「あ、箸が折れちゃいましたね」


箸が折れてしまうことも。食器は、落としても割らないようにとプラスチック製のものを使うようにしている。特に、包丁は自分の身体を切ってしまう恐れもあるため、なるべく使わないように心がけているという。

酒井さんに症状が出始めたのは、小学2年生の頃。いじめやからかいの対象になったこともあったという。

(酒井さん)
先生に静かにみんな授業を受けたいから静かにしてもらえないかなと。当たり前のことではあるんですけど、できないのがもどかしいし悔しい」


大学で学んだ心理学を仕事でも活かそうと、医療や福祉業界を目指して就職活動を続ける酒井さん。

エントリーシートをパソコンで打ち込もうとするが、パソコンや自分の身体を叩いてしまいどうしても時間がかかってしまう。



(履歴書を読み上げる酒井さん)
「身体が勝手に動いたり、声が出てしまう症状があります。人に危害を加えたり、物を破損することはありません。周りの人を驚かせてしまうので、同じ部署で働く方々に病気の周知とデスク位置の調整をしていただきたいです」

できるだけ相手にマイナスな印象を与えないようにするけども、細かく伝えようとすると不安をあおるような感じになってしまうので、どこまで伝えられるかが難しくて…」