仕事を求めてハローワークへ「負けられない闘い」


リクルートスーツに身を固めた酒井さん。11月上旬、ハローワークに向かった。

(酒井さん)
「前回の面接の結果が届いていないんですけど、次の仕事、どんなのがあるのか探しにいこうと思っています。前例がないって言われて しまうんですよね。同じ 病気を持った人でどんな人が働いていますか?って聞いても。全部手探り状態です」


仕事は見つかるのだろうか。30分ほどして酒井さんがハローワークから出てきた。


(記者)
「Q.お疲れ様でした」

(酒井さん)
「今回はあんまり良い求人が見つからなかったですね。はぁ…」


(記者)
「Q.大分疲れていますね」

(酒井さん)
「忙しくてなかなかね。こたえますね。毎日、動き回って就職活動なりをやっていますけど…まだ始まったばっかとはいえ、成果が出ずなので、こたえていますね」


この日は、仕事を紹介してもらえず。それでも酒井さんが諦めないのには理由がある。

(酒井さん)
後続に道を作る意味でも絶対に成功させて内定をもらわなきゃなて。負けられない。“絶対に負けられない闘い”ですね」


自分の店を出したい… 配達員の怜音さんは夢のために”修行中”

同じくウーバー配達員の怜音さんも負けられない闘いの真っ只中。10月末、営業終わりの日本料理店にその姿があった。


お客さんのいない店内で1人黙々と皿洗いにまな板の手入れをする怜音さん。

(怜音さん)
お客さんの前に出るのは良くないなということで”締め作業だけ”やらせてもらっています。やっぱり飲食店をやりたいなら飲食業に関わっていないといけないと思うので、お片付けだけでもいいし、携われることに意味があるのかなと思っている」

目の前には難しい現実が。それでも“同じ病気に悩む人が気軽に楽しめる店をつくりたい”少しずつでも前に進もうとする怜音さんだ。

(怜音さん)
「日本のみんながチック症・トゥレット症を認知してもらうことが自分のゴールです」


「少しでも社会がトゥレット症を受け入れてくれるなら…」

今回取材をした多くのトゥレット症の当事者が、名前を出してカメラの前で話してくれた。その理由は皆同じだった。このうちの1人、酒井さんはこう話す。

「トゥレット症をみんなに知ってもらって、少しでも僕らに対する冷ややかな視線が和らげば嬉しいです。手が動いたり、声が出てしまう以外は僕も皆さんと同じなんですよ」

勇気を出して取材に応じてくれた彼らの“思い”に応えるためにも、私は取材を続けていきたい。

CBCテレビ「チャント!」2022年11月9日放送

取材:CBCテレビ報道部 柳瀬 晴貴(25)
福岡県出身 2019年 法政大学経営学部卒業。CBCテレビに入社し、報道部で記者4年目。愛知県警担当や遊軍の記者として、殺人事件や不正車検の実態、ドン横キッズ問題などを追う。