自分の体を殴ってしまう女性「普通に生きるのに困ります」

私は10月下旬、怜音さんも参加するトゥレット症の当事者が悩みや情報を共有する交流会に足を運んだ。


交流会には怜音さんと同じで声が出てしまう男性や、話をしている最中に突然飛び上がるような動きを見せる女性も。

同じトゥレット症でもそれぞれ、異なる症状に悩まされている。もう20年近く、症状と闘うののかさん(20代)はこう話す。


(ののかさん)
(Q.どんな症状があらわれますか?)今は、自分のことを殴るのと、手足がビクビクなったり『ひゃー』という変な声が出てしまいます」


特に症状がひどかったというのが中高生の頃。16歳の時、治療のために訪れたアメリカで撮影したという映像には、突然大きな声が出たり首が動いてしまったりと、じっとしていられない様子が記録されていた。


ののかさんに、日常生活で困っていることはあるか尋ねてみた。

(記者)
「Q.日常生活で困ったことはありますか?」

(ののかさん)
「普通に生きるのに困ります。電車の中や飛行機がしんどかったり、美容院も地獄ですよね。動けないじゃないですか」


公共交通機関を利用するのも、髪を切るのも、”日常”では何気ないシーンだ。その「当たり前」で悩んでいる人がいるなんて…。

テレビ画面を割らないように自分の手を”縛る”男性「手術の効果はなかった」

交流会で私が気になったのが身体の前でバッグを抱えるようにして持つ男性(30)だ。重い症状に悩んでいるというが、バッグを手離さないのには理由があるのだろうか?


(男性)
「迷惑をかけないように手を縛っています。手が出てしまわないように…」

一緒に来ていた男性の母親が説明する。

(男性の母)
「手が出ちゃうから。(バッグの)ベルトで縛って手が出ないように”固定”しているんです。車でもガラスを叩いて割ってしまわないように、シートベルトを巻きつけています」


手が動いてしまうのを抑えられないため、バッグのベルトを巻き付けている男性。自宅のテレビやガラスを割ってしまうこともあるという。


(母親)
「治らないので中国に渡り、医療をして針も打ちましたし、漢方も飲みました。それで最終的に良くならなかったので(韓国で)DBSの手術をしました」

DBS(脳深部刺激療法)は、脳に電極を植え込み、刺激を与えることで症状の軽減を図る手術。しかし効果はあまり感じられなかったという。


(男性の母親)
「ここ(胸)に電池があるんですけど、3年で止まるんですが、今は止まった状態です。再手術をするよりもそのままの方が体に負担が少ないから」