学校の先生に「風邪だろ!どっか行け」と言われたことも…

怜音さんが生まれ育ったのは鹿児島県。小学3年生の時。父親の言葉がきっかけでチックだとわかった。


(怜音さん)
「僕は当時『ん、ん、ん』と鼻や喉を鳴らす癖があって、お父さんに注意されたとき、お前その変な癖やめろと言われて、自分ではなぜこれをしてしまうかわからない。止めることもできなくて、病院へ行くと、先生に『チックですね』と告げられた」

学校で病気のことをからかわれることも多かったという。

(怜音さん)
「目立つ病気なので真似されることはしょっちゅうです。チックの症状が練習中に出て、先生に『風邪だろ!どっか行け、練習から外れろ』と言われたのを覚えています」

家族に迷惑をかけず自立したいと愛知へ移り住み、いまは一人暮らしだ。


常にイヤホンをつけている理由を聞いてみた…

取材中、私はあることが気になった。怜音さんは常にイヤホンをつけているのだ。インタビュー中も、こちらが言わない限り取ろうとしない。何か理由があるのか?尋ねてみた。

(怜音さん)
「周りの人の悪口がたまに聞こえてくるんですよ。それが聞こえてこないようにイヤホンでふたをしています。本当は良くないんですけどね。これが僕の中でストレスをためない秘訣になっている」


普段の生活でも様々な悩みがある。彼がスーパーに入ると、周りのお客さんが声に驚いて一斉に振り返る。


(怜音さん)「すみません…」

買い物は、家族連れが多い時間帯を避けるという。声で子どもを”怖がらせない”ためだ。

(怜音さん)
「声を出しちゃうと響くので、まわりの視線を集めることも多くて、慣れてはいるが、たまにしんどい時もある」

怜音さんは、“自分の声で他人に迷惑をかけたくないから” と静かな空間を避けるようにしている。例えば、映画館や図書館、飛行機の中…。

(怜音さん)
「映画を見るときはスマートフォンです。本当は僕だって臨場感のある映画館で最新の作品を観たいですよ」