15秒に1回、勝手に声が…自分の中に潜む“悪魔”と闘う

怜音さんもトゥレット症と診断され、およそ15秒に1回、突然声が出たり、目や首が動いてしまう症状が出てしまうという。


(怜音さん)
「意思に反して言葉が出たり動きがでるので“悪魔の病気”という人もいる」

ウーバーイーツの配達の仕事を選んだ理由について聞いてみた。

(怜音さん)
「(人と接するのが)短い時間で、チックで不快感を与えることがこの仕事は少ないと思う」

圧迫感で症状がひどく出るため、マスクを付ける事が出来ないという悩みも抱えている。


1万回を超えた配達 “怖がらないでください” と伝えるために…

正午すぎ、配達依頼が入ってきた。「ブラジル料理店に取りに行きます」


商品を受け取り、配達先に向かう前に必ず送るのが、私に送ってくれたのと同じあのメッセージだ。

(怜音さん)
『チックという病気があり、声が出てしまうことがあります。許していただけると幸いです』「これは"怖がらないでください"と伝えるメッセージ」


1日の配達は20件ほど。3年間で配達した回数は1万回を超える。

バッグには外見でわからなくても障害や病気があることを知らせる”ヘルプマーク”をつけている。

(怜音さん)
「(配達先に向かう)エレベーターの中でチックは出し切るようにしている」

怜音さんは何とかお客さんの前では声が出ないよういつも努めているが…どうしても少しは出てしまう。

(注文客)
「チック…?すごい丁寧で優しい方だなと思った」


配達員仲間から親しみを込めて、あるニックネームで呼ばれている。

(配達員仲間)
「今、彼は魚屋さんという名前で配達しているんですよ。(意思とは関係なく出てしまう)『あいよ!』という声が、配達員からは八百屋さんがいた!魚屋さんのあいつがいた!と」

(配達員仲間)
「あいよ!あいよ!と言いながら自転車を漕いでいるので、知り合いが沢山いる人なのかと思った。挨拶をして回っている人かと」


本人も、話のきっかけになると気に入っているが、時には勤め先や配達先で、悪口を言われる事もあったという。

(怜音さん)
「治す気がないから治らない。心の病だとか。消えてしまえと。その言葉はものすごくつらいですね」