こどもの日の5月5日、ある特別な思いが込められた花火が、新潟県小千谷市の夜空を彩りました。思いやりの輪を広げ、子どもたちの笑顔を守れるように…。打ち上げに託した花火師の願いです。

こどもの日の夜、新潟県小千谷市の夜空に大輪の花が咲きました。思わず息を飲む色鮮やかな花火には、ある特別な思いが込められています。

フードバンクへの支援です。

【フードバンクおぢや事務局 森本恵理子さん】
「こちらが倉庫になります」

小千谷市では、去年10月に『フードバンクおぢや』が発足。一般家庭や企業から集めたコメやカップ麺などの食料品を、生活に困っている19世帯に無償で届けています。

支援物資を配達している事務局の森本恵理子さんによりますと、新型ウイルスの影響や物価高騰のあおりも受けて、小千谷市でもここ数年で生活に困窮する家庭がさらに増えたそうです。

【フードバンクおぢや事務局 森本恵理子さん】
「食べることだけは安心ですよ、という状況を作ってあげられたら一番いいのかなと思って。“お米5キロは必ず”と決めて配っているので、利用者からは『すごく助かっている』と言われています」

フードバンクおぢやは、子どもがいるひとり親世帯を中心に支援していますが、フードバンク自体も、運営資金を集めるのに頭を悩ませていました。

そんな中で、活動を支えようと名乗りを上げたのが、花火の製造・販売を手がける『小千谷煙火興業』でした。

ここ2年は新型ウイルスの影響で花火大会がことごとく中止となり、打ち上げることのできなかった数万発の花火が倉庫に眠っています。瀬沼さんの話では感染拡大前と比べて、おととしはマイナス95%、去年はマイナス70%と、売り上げが大幅に落ち込んでしまったそうです。

【小千谷煙火興業 瀬沼輝明社長】
「ふさぎ込む時間が多かったし、何していいかも分からないし、花火しか作ってきていなかった人間ですから」

「なんとか食いつないできた…」。あすを生きるために、自身も思い悩んだ2年間でした。

そうして迎えた今年のこどもの日に準備したのは特別の花火。「少しでも困っている人の力になれれば」と、小千谷煙火興業が個人や企業から協賛を募り、売り上げの2割を『フードバンクおぢや』に寄付することに決めたのです。

瀬沼さんは妻・智恵さんとともに、寄付を寄せてくれた人に現地の様子を配信しながら花火を見守ります。

花火には個人や企業から74件の申し込みがあり、16万3265円がフードバンクおぢやへ寄付されることになりました。

【小千谷煙火興業 瀬沼輝明社長】
「私共も苦しいですけど、もっと苦しい人がいるということへ気付き、『きょうも食べられない』という人もいらっしゃる事実を理解して、支援の輪が広がるといいかなと思います」

【小千谷煙火興業 瀬沼智恵常務】
「暗いニュースが多い中で、下を向くことが多いんじゃないかなと思いますので、上を見上げていただいて、花火を見て『わぁ~っ』と楽しく、にこにこと笑っていただいたら」

誰かが誰かを思いやり、助け合いの輪が広がるように…。

そう願って打ち上げられた花火は、小千谷市の夜空を優しい光で彩ります。
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◆支援についての問い合わせ先
『フードバンクおぢや事務局』090ー2244ー0918