新潟県内でイノシシによる農作物の被害が増えている中、阿賀町ではどのように罠を仕掛けたらいいかなどを農家が学ぶ研修会が開かれました。

阿賀町で開かれた『中山間地域等農業振興研修会』には、地元の農家ら多くの方が参加しました。テーマは近年増加するイノシシ被害を防ぐための仕掛け罠の設置についてで、長岡市で鳥獣被害対策などを手掛ける『うぃるこ』の塚田朱花さんが、罠の仕掛け方や効果的な設置場所などを説明しました。

塚田さんは「イノシシが罠に警戒して危険性を学習すると、捕獲確率が3.9%まで下がってしまう」と話し、さらに「罠の向きは、イノシシの背中側が山になり、前方に人里や道路が見える位置にするのが効果的」と具体的な設置方法を解説しました。

研修会では罠の種類による違いも紹介されました。

うぃるこ 塚田朱花さん
「囲い罠は移設が大変ですが、多くのイノシシを一度に捕獲できる利点があります。一方、箱罠は移動が比較的簡単です」

また捕獲のベストタイミングについても、塚田さんは「イノシシが子育てをしている6〜7月頃と稲刈り直後が最も効果的です。特に母イノシシは授乳期に多くの餌を必要とするため、罠に誘導しやすくなります」と解説していました。

県や県農業共済組合によりますと、2024年度のイノシシやクマなど有害鳥獣による農作物の被害額は3億3400万円で、前の年よりも1.4倍に増加。そのうち約4割がイノシシによる被害だったということです。阿賀町でもここ数年、被害が増加していると言います。

塚田さんは「罠を見回る際は自分の安全が最優先です。木の上や罠までの道、藪をよく確認してから近づき、万が一イノシシと出会った場合は刺激せずに後ずさりしてください」と安全対策も強調しました。

参加した農家
「電柵(電気が流れる柵)を設置していないとイノシシの被害に遭う。ただ、電柵で対策していてもイノシシに入られたり、収穫前の稲に泥を付けられたりする。集落でこういう罠の設置などを考えていきたい」

増え続けるイノシシ被害に対して、効果的な対策を講じるための取り組みが続いています。