食べ物を咀嚼する力が弱い人のために調理された「嚥下食(えんげしょく)」。食材にとろみをつけるなどしてのみ込みやすくしています。その嚥下食の常識を打ち破る料理が21日、八戸市の高齢者施設で提供されました。彩りもよく、のみ込みやすい寿司や天ぷら。施設の入所者が久しぶりに実感したのは食べる喜びです。


丁寧にさばかれるイカ。ここに、さらにひと手間かけイカをミキサーに。細かくなったイカをリング状にしてから、からりと揚げるとイカの天ぷらが完成です。柔らかく味や見た目にもこだわった嚥下食が八戸市の高齢者施設で提供され、入所者に食べる喜びを届けました。



八戸市の介護老人保健施設、サンライフ豊寿苑です。入所者98人のうち12人がのみ込みやすいように調理した嚥下食を食べていました。この日の昼食は粒感が残っていないお粥、それにペースト状にしたあと成型した豚肉の煮物などです。安全が優先されるため、食欲がわくとは言い難いものです。


※嚥下食を利用・長谷川ミイさん102歳
「美味しくない。(食べたいのは)噛むと味が出てくるもの。Q食べたいものは?ないね」
施設は、嚥下食の質を高めるためにこのほど、専門の料理人を招きました。山形県鶴岡市の延味克士さん54歳です。嚥下食を作り始めたのは8年ほど前、そのきっかけとなったのが。
※嚥下食を調理・山形県鶴岡市 延味克士さん(54歳)
「10数年前に自分の父親が嚥下障害があって、美味しいものが食べられないまま亡くなったけど、その時は自分はなにかをしてあげたいと思わなかった。(嚥下食は)医療・介護の方々の仕事で、自分たち料理人には関係ないと思っていた」
嚥下食を食べる人の現実を知った延味さんは、食材から調理法まで徹底的に研究しました。ニンジンは一度、すりつぶしてから形を整えて使います。
こちらは、歯切れをよくしたのりです。昆布だしにひたしてからミキサーにかけたものをゼリー状にしました。

※嚥下食を調理・山形県鶴岡市 延味克士さん
「嚥下食にのりは危ない食材。通常の焼きのりだとそのまま食べさせることができない。歯切れが悪いし、口の中に張り付きますし、のみ込むことも困難」
彩り豊かに、味にもこだわったものを。おかゆ程度の柔らかさにしたシャリをノリでまけば軍艦巻きです。












