青森県内の秋の観光イベントで人気が高い「弘前城菊と紅葉まつり」。長くまつりを彩る主役として活躍してきた「菊人形」の勇退が決まりました。

2024年11月に行われた「弘前城菊と紅葉まつり」です。
観光客の人気を集めていたのは中堀の観光船。そして、巨大なフラワーアートが織り成す眺めでした。

このまつりの主役もかつては異なりました。

まつりが始まったのは1962年。
当時は色とりどりの菊を使って作った「菊人形」が人気を集めました。

その技術は年々進化し、1980年にはまるで時代劇のような場面を表現したり、津軽三味線の演奏を披露したりしていました。来場者数も1989年には、105万7000人を記録し、菊人形は「まつりの主役」として弘前の秋の観光に大きく貢献してきました。

このため、関係者は一年ずつテーマを決めて人形を作り、まつりの準備をしてきました。

1990年取材 観光協会の担当者
「歴史的なもので、一つの場面を構成して、いろんな形の当時の苦労を皆さんにしのんでいただきたい。花いっぱいの中に美人の人形を考えています」

ただ、年を重ねていくと、菊を人形の骨組みにあわせて折り曲げるなど職人技の伝承が困難になってきていました。

このため、2019年を最後に生花を使った菊人形の製作は中止されていました。

そのなか、2020年に導入した大型フラワーアートも徐々に市民に定着し、主催者側はこのほど、長く活躍してきた「菊人形」の勇退を決定。

10月31日に開幕する2025年のまつりでは正式に、新たな形で再スタートすることになります。