海や山での事故が増える夏、一刻を争う場面に遭遇したらどう対処したら良いのか。救命措置ができる人を増やそうという活動が広がっています。

<指導員>
「いち・に・さんで代わります。いち・に・さん。パッドの上からできますよ」

静岡県伊豆市の修善寺東小学校で行われた救命措置の講習です。夏に増える水の事故に備えて教員や保護者が学びました。

<指導員>
「いかに救急隊が来るまでの時間を有効に使うか、そうでないかによって2倍の違いが出てくる」

心臓や呼吸がとまった場合、助かる可能性は、およそ10分で急激に減ります。救急車が到着するまでの時間は全国平均でおよそ9分。この間の救命措置が大事なのです。

7月10日、沼津市の海水浴場で子どもがおぼれ一時意識不明となった事故では、偶然居合わせた看護師がすぐに救命措置をして命が助かりました。

<講習に参加した教諭>
「あってはいけないことだが、もしもの時のために必ずできるようにしておかなくてはいけないと強く思いました」

<講習に参加した保護者>
「夏休みは海やプールに行く機会も増えるので家族で共有しながらやれたら」

講習を担当したのは駿東伊豆消防本部が認定した「応急手当指導員」です。

<応急手当指導員 渡辺芳枝さん>
「もう仕事は退職して主婦をしています」

<応急手当指導員 谷本由美子さん>
「私は家庭教師をしています」

一般の市民が専門的な講習を受けて資格を取得し、救命措置の普及活動をしています。

<指導員の実演>
「人が倒れている。周囲の状況」

実際に、どう対処したら良いのか実演してもらいました。

<指導員の実演と説明>
「まずは反応を見てください。大丈夫ですか。大丈夫ですか。反応がなかったら、直ちに119番してください。近くにAEDがあったら持ってきてください」

<胸骨圧迫(心臓マッサージ)の実演と説明>
「助けを呼びましたら、直ちに呼吸を確認します。呼吸の確認。普段通りの呼吸なし。胸骨圧迫!呼吸がなければ胸骨圧迫を始めます。救急車到着まで、または傷病者が目を開けたり十分な呼吸が戻るまで続けます」

次にAEDを使います。

<AEDの実演と説明>
「まず、電源を入れます。体表面を確認します。ペースメーカーや張り薬があったらはがして、汗水があったらしっかりふいてください。圧迫を続けます」

AEDは電源を入れると音声で操作を指示してくれます。パッドを貼り付け、コネクタを差し込みます。

<AEDの音声>
「体から離れてください。ショックをかけました」

ショックが終わったら再び胸骨圧迫を続け、救急隊が到着したら状況を報告します。

<応急手当指導員 渡辺芳枝さん>
「私たちはいつ、どこで、どんなケガや病気に合うかわかりませんよね。そんな時に1人でも多くの人が手を差し伸べて、救急車が来るまでに助けられたら」

<駿東伊豆消防本部 救急課 杉山亨消防指令長>
「こういった講習会を受講してくれる人が増えれば、大切な命を守ることができるようになりますので、より地域としては安全安心が増していくと考えています」

救命措置ができる人を増やし、救急のすそ野を広げていくことが「応急手当指導員」の重要な活動です。

「応急手当指導員」による救命講習ですが新型コロナの感染再拡大に伴い、やむを得ず7月半ばから開催を見合わせています。感染状況が落ち着いて早く再開できることが期待されます。