■濃厚接触者の「7日間待機」は必要?
社会を回していくという意味で「濃厚接触者」というのはいつも議題に上がります。今は医療従事者などを除いて、原則7日間、待機しなくてはいけない状況です。

神奈川県の黒岩知事は7月12日に「7日間待機することで社会経済活動をストップしかねない、非常に重大な問題」と話し、全国知事会でも緊急提言として「社会経済活動の維持・継続に支障が生じている。濃厚接触者に対する対応の在り方を含めた具体的対策を早期に提示すること」を国に求めました。
ホラン千秋キャスター:
濃厚接触者の方に関して、オミクロン株のBA.5を受けて待機期間を長くした方がいいのか、それとも短くした方がいいのか、肌感覚、現場で感じることを教えてください。
大阪大学医学部 忽那賢志教授:
やはりこれだけ感染者がたくさん増えている状況で、濃厚接触者になっていない人も接触歴不明の人も、すごく沢山陽性者が出ていますので。一般社会で働く方々で、濃厚接触者になったという方が、1週間仕事ができないというのはやはり社会にとって大きな影響があるだろうと思います。
ただ、濃厚接触者にしないという場合、例えば症状が出たらすぐに検査をしていただくとか、あるいは周りに広げないためにマスクを外す瞬間もできる限り少なくするという感染対策の配慮が必要だとは思いますが、一律、濃厚接触者として7日間隔離というのは、考えを改める時期に来ているのかなと思います。
一方で、医療従事者に関しては、例えば患者さんに広げてしまうと大きな影響があります。やはり患者さんは重症化しやすく、命に関わることがありますので、医療従事者あるいは高齢者施設で働く方の濃厚接触者の取り扱いについてはやはりまだ厳しく、今のような対応をしていかざるを得ないのかなと思います。
■行動制限?社会経済活動?忽那教授「一律の対応難しい」
井上貴博キャスター:
政府は経済を回すというメッセージを出す中で、ウイルスは厳格な取り扱いの2類相当のままで、濃厚接触者も隔離期間を続けると。(経済を回すという)メッセージと、実情は経済を回すルールになっていないという点に矛盾を感じてしまうんですが、医療現場からはどうご覧になってますか。
忽那教授:
この感染症の特徴の一つだとは思いますが、一般の方々、特に若い健康な方にとっては重症化することもかなり少なくなってきて、そういう意味では段々と脅威ではなくなってきていますが、医療機関、特に高齢者や重症化しやすい人々にとっては、やはり今でも脅威ではあるので、なかなか一律の対応が難しいというのがこの感染症の難しいところなのかなと思います。

南波キャスター:
感染が拡大する中で焦点の一つとなってくる行動制限、政府としては直ちに行動制限をすることはないということですが、その上で後藤厚労大臣は19日、「病床がひっ迫するような事態が見込まれれば、行動制限を含む感染拡大防止措置を講ずることになる」と話しました。
井上キャスター:
対応できる医療機関を増やすという意味では、現状もう打つ手はないということなんでしょうか。
忽那教授:
コロナの患者さんを診療する医療機関はかなり増えていますが、もちろん全てではありませんので、より多くの医療機関で、診療できる医療機関を増やしていくということは対策としては重要だろうと思います。