兄弟合計タイム日本最高よりもパリ五輪

2位の太田直希が1時間00分41秒を出したことで、兄の太田智樹の1時間00分08秒(日本歴代3位)と足して、ハーフマラソンの兄弟合計タイムが2時間00分49秒となった。これは設楽啓太・悠太兄弟の2時間01分29秒を上回り、日本人兄弟選手最高記録である。太田兄弟は昨年12月の日本選手権10000mでも、智樹が27分12秒53(日本歴代2位)、直希が27分52秒10をマーク。10000mでも兄弟合計タイム日本トップに立っていた。

だが、今大会前に智樹からのアドバイスは特になかったという。兄弟選手はお互いの存在が、なんらかのプラスになっているのは間違いない。ファンやメディアは注目する部分だが、当人同士は世間の注目とは反対に、ドライに考えているケースが多い。太田兄弟の場合は現時点では兄が大きくリードし、パリ五輪代表を現実的に狙えるポジションにいる。それに対して直希は「あまり考えられる位置にはいない」と自覚している。

それでも、今回のハーフマラソン出場は、「トラックにつなげるためです。10000mは5月の日本選手権で3位以内に入ることが一番の目標」と言う。

「パリ五輪は現実的じゃないかもしれませんが、1個1個の大会で良い結果を残していくことは、自分がやりたいこと。ワールドランキングのポイントを積み重ねることは、狙って行きたいです」

直希の成長で、兄弟でパリ五輪を意識できるレベルになった。合計記録がどうこうよりも、太田兄弟にとってはそこが重要かもしれない。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)