女性の母「遺体を優しく抱きしめることしかできず…」「明日が来ることを疑わず、夢に向かって邁進していた」
2月5日の裁判で、殺害された大田夏瑚さん(当時20)の遺族が意見陳述を行った。まずは母親が陳述し、涙をこらえながらも、言葉をつないだ。
大田夏瑚さんの母親
「大切に育ててきた娘の命、未来を、奪われた無念を伝えたくて、この場で証言します」
「娘は小さい時から、優しい子でした。娘が抱いた夢は、放射線技師になることです。人の命を助けたいと、中学生の時から目指していました」
「成人式の日のことです。自宅の庭で、『記念にママと一緒に撮りたい』と言って、写真を撮ってくれました。これが最後の写真となりました」
「安置所で布をめくって遺体を確認するよう言われましたが、刑事さんに布を取ってもらいました。やつれた顔をなで、優しく抱きしめることしかできませんでした」
「体中にある刺し傷を見ました。胸には何か所も大きな刺し傷がありました。大きな穴のようでした。“殺意の痕” だらけでした」
「顔の表情は、恐怖、苦痛、無念、さびしさ、後悔…それらすべての感情を物語っていました。あんな人の表情を見たことがありません」
「娘はあの日からずっと、『どうして私が殺されたの?』と言っていると思います。明日が来ることに疑いもなく、夢に向かって邁進していたと思います」
「私の願いはただひとつ、笑顔で可愛い娘を返してほしいです」
悲痛な陳述に、傍聴席からすすり泣く声が漏れた。